研究実績の概要 |
平成28年度、拡散MRIによる神経突起イメージングがパーキンソン病の大脳灰白質変性を鋭敏に検出し、パーキンソン病群の灰白質の神経突起密度や神経突起配向を反映する定量値がパーキンソン病の運動症状と良く相関することを示した。さらに拡散MRIによる神経突起イメージングによって検出された変性領域は、剖検脳の病理進展ステージと良く一致することがわかった。 平成29年度には28年度の結果を論文化し、結果の普及に努めた(Kamagata K, et al. Human brain mapping 2017)。合わせて、拡散MRIによる最先端の脳内ネットワーク解析を用いると、従来法より鋭敏にパーキンソン病における皮質基底核ネットワークの変性を検出できることを報告した(Kamagata K, et al. NeuroImage: Clinical)。さらに神経突起イメージングを用いてパーキンソン病の運動症状の主因である黒質線条体神経路変性のin vivo評価が可能であることを報告した(Andica C, Kamagata K, et al. Parkinsonism & Related Disorders 2018)。 平成30年度は、パーキンソン病で比較的早期に病理変化が生じる帯状束の変性を神経突起イメージングを用いて評価し、帯状束前方より変性が生じること、軸索密度の変化よりも軸索配向分散の変化が早期に生じうることを示した(鎌形ら、第46回日本磁気共鳴医学会大会)。加えて、神経認知精神障害を有するパーキンソン病患者における白質微細構造変性の評価に神経突起イメージングが有用であることを報告した(アンディカ、鎌形ら、第46回日本磁気共鳴医学会大会)。 以上の研究結果より、パーキンソン病の病理変化の検出に神経突起イメージングは有用であり、パーキンソン病の疾患進行のマーカーとしても有望と考えられる。
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