研究課題
リンパ系の画像化技術は,血管系画像に比して大きな遅れをとっている.リンパ管造影は油性造影剤を用いる古典的方法が現在も一般的であるが,侵襲が大きく,難渋することも多い.近年,リンパ系の低侵襲検査法として,通常MRI 造影剤を用いたリンパ管造影 (MR リンパ管造影) が研究されているが,リンパ系との親和性が低く,描出能が不十分である.この問題点を解決するために,Gd-DTPA-Nd ナノ複合粒子 (Gd-DTPA-Nd)」 に着目した.本剤はナノスケールでかつ生体適合性・化学安定性に優れており,MR リンパ管造影の造影剤に適していると考えられる.本研究の目的は,未だ不明であるin vivo におけるGd-DTPA-Ndの体内動態と安全性評価並びにMR リンパ管造影でのGd-DTPA-Nd の造影効果の評価である.本年度は、古典的直接リンパ管造影の手技確立と実験動物のリンパ系画像解析を行った。日本白色種2匹を用いて、リンパ管造影を行った。造影剤は油性造影剤(リピオドール)を用いた。動物実験用X線透視装置で、体幹部リンパ系が全体に描出されたことを確認した。MDCTにて体幹部リンパ系の詳細な3D画像を得ることに成功した。ウサギでのMRI撮像実験前の予備実験として、SD ラットを用いた.0.05M Gd-DTPA-Ndを足底皮下に各0.1ml注入し,MRIで撮像を行った.しかし、MRIでのリンパ管の描出は認められなかった.Gd-DTPA-Ndの溶液中での凝集が問題であると考え,ホモジナイザーを利用して分散液を作成することとした.純水中でのGd-DTPA-Ndを作成することに成功した.
3: やや遅れている
Gd-DTPA-Ndの溶液中での凝集のため、MRIでの造影効果の判定が不能であった。分散が可能となる手段が見つかりそうなため凝集の問題を解消できると考え、来年度はMRIでの造影効果を判定する予定である。
来年度は、Gd-DTPA-NDの直接MRIリンパ管造影、間質MRIリンパ管造影、体内動態評価と安全生を行う予定とする。
研究がやや遅れているため、次年度使用額が生じた。
来年度予定しているGd-DTPA-Nd を用いた直接MR リンパ管造影とGd-DTPA-Ndを用いた間質MRリンパ管造影に加えて、Gd-DTPA-Nd 静注後の体内動態評価と安全性評価も行う計画としている。
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