研究課題/領域番号 |
16K19864
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
上田 達夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (10637416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 抗癌剤 / 加温 / シスプラチン / TACE |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、加温した抗癌剤を用いて肝動脈化学塞栓療法(以下、TACE; trancecatheter arterial chemoembolization)を行うことにより、既存のTACEよりも著しく高い抗腫瘍効果を得ることである。本研究期間内において、加温した抗癌剤を用いたTACEの方法の確立ならびに安全性と抗腫瘍効果を明らかにすることを目標としている。研究実施計画書に示した通り、平成28年度の目標は、加温抗癌剤の温度を低下させることなく腫瘍内に投与するシステムの確立を行うことであった。以下、研究成果について述べる。 抗癌剤としては、肝細胞癌に対するTACEとして保険適応のあるシスプラチンを選択した。湯煎器を用いて、設定した数種類の温度にシスプラチンを加温し、シスプラチンの実際の温度を測定後、TACEで実際に使用しているマイクロカテーテルより注入した。カテーテルから流出されたシスプラチンの温度を測定し、カテーテル通過前後の温度差を確認することで、温度低下の程度を検討した。結果としては、温度低下はシスプラチンの注入前の温度と注入時間に依存していた。注入前の温度が高く、注入時間が長いほど温度低下の程度が大きかった。TACEの抗癌剤注入時間は、時に10分以上かかる場合もある。従って、加温抗癌剤の温度を保持するためには、投与温度を高く設定した方が良く、保温性のあるカテーテルを使用した方が良いとの結論に達した。引き続き、正常ウサギによる動物実験を開始したところであるが、まだ十分なデータを得るまでには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通りにカテーテル注入による温度低下の程度を理解するための実験は終了し、動物実験を開始し始めたところである。当初の予定では、平成28年度中に正常ウサギによる動物実験の大部分を終えている予定であったので、計画よりはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き正常ウサギによる動物実験を継続する。シスプラチンの至適投与温度に関しては、今後の実験で検討していく予定である。保温性カテーテルの開発に関しても、今後実現性の可否を含めて検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたよりハイスペックなPCの購入や平成29年度に予定していた海外出張が本年に前倒しになった関係で平成28年度の予算が足りなくなったため平成29年度予算より前倒し請求を行ったため差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前倒し請求で平成29年度の使用金額が当初予定してものより減ったが、海外出張申請を減額する事で計画を変更することなく遂行できると考える
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