研究課題/領域番号 |
16K19865
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
松本 圭一 京都医療科学大学, 医療科学部, 准教授 (60393344)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二検出器型ガンマカメラ装置 / SPECT / 雑音除去 |
研究実績の概要 |
放射性医薬品を投与して生体の組織や臓器における放射性医薬品(放射能)の分布を画像化する手法である単光子放射断層撮影(SPECT)と陽電子放射断層撮影(PET)は、脳血管障害、認知症、虚血性心疾患および悪性腫瘍などの診断に有用である。近年ではこれら各種疾患の早期診断だけでなく治療薬開発におけるバイオマーカーの画像化手法としても世界的に注目され、医師主導臨床試験や企業治験などで用いられている。 しかしながら、これらの断層撮影法は測定原理上、量子雑音が多く、特に放射性医薬品の動態機能試験やファースト・イン・ヒューマン試験では短時間収集および低投与量収集となるため顕著となる。このため、測定データに含まれる量子雑音の程度に応じて術者(医療従事者)が任意に設定した各種雑音除去処理を施すが、再現性、標準化および根拠に基づく医療の構築の妨げになっている。 本研究では、術者の設定を必要としない普遍的かつ高精度な雑音除去法(高精度WaveletDenoising 法)を研究開発している。本研究は、①臨床試験を想定した臨床用の実機による検討、②超短時間収集や超低投与量収集を想定した臨床用の実機による検討、③精度および実用性の更なる向上、から構成される。 今年度は前年度に明らかとなった問題点である重み付け閾値の再検討を、計算機シミュレーションとSPECT装置で実測されたデータを用いて行った。 重み付け閾値の最適化を再検討したが、1画素当たり10 counts未満の収集カウントでは信号成分と雑音成分の分離が難しく、本手法にてどのような条件下でも雑音のみを効率よく除去できないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)平成29年度末まであった研究の遅れは取り戻しつつある。 (2)SPECT装置を用いた臨床研究、および超短時間収集や超低投与量収集を想定した検討は順調に進んでおり、本手法の問題点(限界点)も明らかになりつつある。 (3)臨床用のPET装置で測定されたデータに対して本手法を適用することが装置の仕様上困難であるため、小動物用のPET装置で測定されたデータに対して検討を行い、SPECT装置と同様の限界点があるか検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
(1)人体模擬ファントムおよび計算機シミュレーションで本手法の限界点を精査し、実用化に向けた重み付け閾値の最適化を継続して検討する。 (2)小動物用PET装置を用いて本手法の適用性を検討する。 (3)本研究に関係する各種雑音除去法(画像処理)の研究動向を情報収集する。
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