本研究では、被ばく時年齢の違い(思春期前後)によって妊娠・出産経験がどのようにラット乳がんのリスクを変化させるかを明らかすることを目的とした。長期飼育から非照射群と同様に思春期前に被ばくした群で、妊娠・出産経験による乳がんの予防効果が観察され、それらはER+PR+乳がんで顕著であった。加えて、思春期前の被ばくと妊娠・出産経験は、発がん過程の血清のプロゲステロン濃度を未経産群と比べて有意に減少させていた。一方、思春期後に被ばくした群では、妊娠・出産経験によるこれらの変化は観察されなかった。これらの結果は、妊娠・出産経験による乳がんの予防効果は放射線被ばく時年齢で異なることを示唆している。
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