研究実績の概要 |
がん診療において,超早期診断や個別化治療の実現化が期待されている。肝腫瘍に対する治療は, 外科的切除術・全身化学療法・IVR(interventional radiology)などがあり,病態により治療法が選択されている。IVRは低侵襲的な局所治療であり, 対象領域・腫瘍の性状・病態に最適な個別化治療の選択が可能な治療法である。 本研究の目的は, 肝腫瘍に対するIVRにおける治療効果判定に臨床用高磁場MRIを用い, 細胞壊死・線維化・たんぱく変性・肝機能の変化を検出し,細胞の性状と機能の変化に基づいた早期治療効果判定を行うことである。 本年度は、(1)全身化学療法への反応性ついての論文化を行った。また(2) Equivalent Cross-Relaxation Rate Imaging (ECRI) を用いた不均一性の算出とIVR治療効果との相関について検討を行った。 大腸癌肝転移に対してEOB造影MRIが撮像された26症例に対して、化学療法への治療効果予測をEOB造影MRIとDiffusion weighted image(DWI)を用いて行えないかを検討し、腫瘍の造影率が高い症例で化学療法への効果が高い傾向があることを明らかにした。 IVR治療前に肝MRIにおいて病変を評価した25例でECR値とADC値を測定し治療反応性の早期評価を実施した。治療効果はそれぞれ腫瘍サイズが30%以上縮小したresponders group 13例、30%未満のnon-responders group 12例であった。Responders群とnon-responders群におけるECR値の平均・標準偏差、およびADC値の平均・標準偏差にそれぞれ有意な相関は観察されなかった。
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