研究課題/領域番号 |
16K19882
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研究機関 | 公益財団法人先端医療振興財団 |
研究代表者 |
赤松 剛 公益財団法人先端医療振興財団, 先端医療センター分子イメージング研究グループ, その他 (00726557)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイド / PET / 定量 / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
アミロイドPETにおける正確な定量評価を実施するために必要な要件として、評価者による差がないこと、再現性がいいこと、アミロイドβが特異的に沈着する領域に精度よく関心領域(region-of-interest: ROI)が設定できること、簡便であることなどが挙げられる。これらの要件を満たすために、平成28年度は(1)MRIが不要な、PET画像のみを用いた解剖学的標準化手法の開発、および(2)アミロイドPET定量評価用のROIテンプレートの開発に取り組んだ。 (1)では、アミロイドPETは陽性と陰性で脳内の放射能分布が大きく異なる点に着目した。解剖学的標準化処理を行う際の標準脳は通常1種類であるが、本研究では陽性標準脳と陰性標準脳の2種類を用いる、いわゆるアダプティブテンプレート法を採用した。これにより、アミロイドPET画像のみでの解剖学的標準化を可能にした。 (2)では、陽性標準脳と陰性標準脳をそれぞれ閾値処理し、陽性標準脳から「特異的および非特異的に集積する領域(主に灰白質と白質)」を、陰性標準脳から「非特異的に集積する領域(主に白質)」を抽出し、その差分を取ることによって「アミロイドが特異的に集積する領域(主に灰白質)」を作成した。その領域を基に、アミロイドPET定量評価用のROIテンプレートを作成した。 さらに、(1)と(2)の成果を応用することにより、PET画像のみで脳内のアミロイドβ沈着を自動かつ定量的に評価する手法を開発した。開発した新しい定量評価手法を臨床画像に適用し、正確かつ簡便にアミロイドPETの定量評価が実施可能であることを確認した。上記の内容を学術論文として執筆し、学術雑誌に掲載された(Akamatsu G, et al. Physics in Medicine and Biology. 2016;61:5768-5780)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の想定よりも順調にアミロイドPET画像データが収集できたこと、ならびに開発した新しい定量評価手法が期待通りの結果を示したことから、初年度に学術論文を発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、多施設で撮像されたアミロイドPET画像を対象に、本研究で開発した新しい定量評価手法の有用性を検証するとともに、自動解析プログラムとしての実用化を目指す。
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