研究課題/領域番号 |
16K19883
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西尾 瑞穂 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50581998)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 深層学習 / 機械学習 / テクスチャー解析 / 肺癌 / CT / 肺結節 / 肺気腫 |
研究実績の概要 |
今年度は、主に深層学習を用いた肺結節のコンピューター支援診断ソフトウェアの検討を行った。深層学習を用いることで、1236肺結節のCTの肺癌・良性肺結節・転移性肺腫瘍の鑑別について、正診率が68%となった。既存の手法では正診率が60%前後であったので、深層学習を使うことで性能向上が得られることが分かった。この結果を2018年4月に日本医学放射線学会総会で発表し、現在は論文を投稿中である。 前年度に引き続き、テクスチャー解析と機械学習を用いた既存の手法についても検討を行った。公開データベースであるLUNGx Challengeの73肺結節とNSCLC Radiogenomicsの26肺結節のCT画像で検討したところ、肺癌と良性肺結節の鑑別についてReceiver operating characteristic (ROC) 解析のAare Under the Curve(AUC)が0.90となった。同じ症例で二名の放射線科診断専門医が評価したところ、こちらもAUCが0.82と0.90となったことから、テクスチャー解析と機械学習を用いることで十分な精度が得られることが分かった。この研究は2018年4月に論文が公開された。 他、CT肺癌検診で用いられる低線量CTのノイズ低減を深層学習で行った論文や、検診における肺癌リスクの評価を行うための肺気腫の自動評価法などの論文も公開された。深層学習によるノイズ低減では、convolutional auto-encoderを利用して超低線量CTのパッチベースのノイズ低減ができることを示した。肺気腫の自動評価法については、ホモロジー法や混合ガウスモデルが有効であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績で示すようにテクスチャー解析と機械学習を用いた既存の方法を用いたコンピューター支援診断ソフトウェアにおいては、肺癌と良性肺結節の鑑別について十分な精度が得られることが分かった。現在は、比較的大きな肺結節データベースと深層学習を用いた肺結節の鑑別のコンピューター支援診断ソフトウェアについて検討を行っており、それについては既存の方法を超える精度が得られることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度から引き続き当院の肺結節データベースを用いたコンピューター支援診断ソフトウェアの開発を行う。肺癌検診の対象となる肺癌と良性肺結節の鑑別について検討を行うとともに、深層学習に画像以外の情報を入力することにより、コンピューター支援診断ソフトウェアの性能向上が得られるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の残額が大きく、平成29年度では使いきれなかった。
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