研究実績の概要 |
はじめに3次元画像解析ソフトを用いてBody composition(身体構成)の評価を実施した。術前化学療法を受けた271例の乳癌患者における解析の結果、内臓脂肪総量(total visceral fat, tVAT)は有意にBMI(Body Mass Index)と相関していた(P <0.05)。また多変量解析にて検討した結果、病理学的完全奏功(pathological complete response, pCR)とtVATに有意な関連は認めなかった(P = 0.60)。その一方でtVATが多い群は有意に遠隔転移再発期間が短縮しており(P <0.05)、多変量解析においてもtVATは独立した予後因子であった(P <0.05)。これらの研究成果は、ASCO 2017にて発表する予定である。次に、背景因子を用いてpair-matchさせた早期乳癌患者106例に対して、ELIZAによるInsulin-like growth factor(IGF) familyと炎症と肥満との関係を検討した。ELIZAによるIGF-1, IGFBP3 等のIGF family の定量化とInsulinとfasting glucoseを用いたHOMA-Rの計算を行った結果、WHO分類のnormal群(53例)とoverweight/obese群(53例)との比較において、IGF-1とIGFBP3は各群間で有意差は認めなかった(P = 0.31, 0.77)。その一方で、overweight/obese群はnormal群と比較して有意にHOMA-Rが高かった(P<0.05)。同様に、IL-6, CRPを含む炎症性サイトカインの定量を施行した結果、有意差は認めなかったが(P = 0.50, P = 0.38)、overweight/obese群はnormal群と比較して両者ともに高い傾向にあった。
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