研究実績の概要 |
【目的】肝境界グラフト(過小グラフト・脂肪肝グラフト・心停止グラフト)において、臓器保存時に水素含有臓器保存液を使用することにより、境界グラフトの viability を向上させる可能性につき検討し、臨床応用の可能性を探ることを目的としている。 初年度は、まず、水素水の虚血再灌流障害に対する影響を調べるために、水素水がラットの肝切除後に与える影響を調べた。 【結果】 SDラットに対して、pedicleをクランプして、70%肝切除を行い、水素水(Hydrogen super rich saline: HSRS, 7ppm or 10ppm)を5ml-10ml門脈内投与して、虚血再灌流に関して、水素水の濃度を0ppm, 1ppm, 2ppmと濃度変化に伴う効果を評価した。 水素水の濃度が0ppmのときのAST, ALT, LDH, Bilの値はそれぞれ763IU/L, 465IU/L, 2815IU/L, 0.3mg/dlであったのに対して、1ppmのときには、1038IU/L, 606IU/L, 4895IU/Lであり、2ppmのときには797IU/L, 552IU/L, 2830IU/L, 0.5mg/dlと水素水の肝切除時の虚血再灌流障害に対する抑制効果は認められなかった。 今後は、水素水投与のタイミングと、投与方法、投与濃度に関して更なる検討が必要であると考える。
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