研究実績の概要 |
1.臨床検体を用いた検討 【対象と方法】肝切除を行ったラジオ波治療(RFA)後局所再発切除症例10例(RFA群)、および初回手術症例78例(Control群)を対象とし、各群における予後を含む臨床病理学的因子、再発形式につき比較検討した。さらにmicroRNA210c、microRNA34a、HIF-1α、TGF-β、Twist、Vimentin、Snail-1 mRNA発現をRT-PCR法により比較検討した。 【結果】患者背景として年齢、性別、肝機能に有意差を認めなかった。腫瘍因子では、RFA群で有意に門脈侵襲の頻度が高く (80 vs 25%, p<0.01)、低分化型の割合が高かった (40 vs 10%, p=0.02)。RFA群はnon-RFA群と比べて初回治療からの生存率は悪い傾向にあり (3年生存率36.5 vs 74.6%, p=0.10)、切除からの生存率は有意に不良であった (3年生存率34.9 vs 74.6%, p<0.01)。また初回治療からの無再発生存率は両群間で有意差を認めなかったが (3年生存率 38.6 vs 45.5%, p=0.70)、切除後の無再発生存率おいてはRFA群が有意に不良であった (3年生存率26.7 vs 45.5%, p=0.01)。さらに切除後の肝外再発の頻度に関して、RFA群がnon-RFA群に比べ有意に高率であった。メカニズムについての検討ではHIF-1αはRFA群で高い傾向があり、EMT関連遺伝子においては、TGF-β、Twist、Snail-1はRFA群で有意に高値を示し(TGF-β : p<0.01、Twist : p=0.02、Snail-1 : p<0.01)、VimentinもRFA群で高い傾向を有した。またmicroRNA210c、microRNA34aはRFA群で有意に低値であった。 2.温熱処理による肝癌細胞株の悪性度獲得 今後in vitro, in vivoの両者においてモデル作製を行い、検討を進める予定である。
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