研究実績の概要 |
平成28年度は研究計画の通り、1.肝インピーダンス測定手法の確立、2.肝切除標本を用いた肝インピーダンス値と脂肪率との解析を行った。これまでに15例の肝摘出標本を用いてインピーダンス値(Bioelectrical Inpedance, BI)の測定を行い、うち11例については肝組織内の実脂肪量および組織学的所見の評価をもとに算出した脂肪率との解析を終えた。インピーダンス値は2, 5, 20, 50, 100 kHzでそれぞれ測定し、さらに脂肪測定時にしばしば用いられる50 kHz-100 kHz, 50 kHz/100 kHzの値を追加パラメーターとして実脂肪量と病理学的所見との相関を検討した。これらのパラメーターの中では100 kHzの値が最も相関係数が高い傾向にあった。 100 kHzのBIは個体により96.6から201.6Ωと様々で、測定した肝コレステロール値は3.0±0.2 mg/g、肝中性脂肪は20.9±11.9 mgであった。BIと肝コレステロール値(相関係数r=0.7)、BIと肝中性脂肪(r=0.7)、BIと病理組織学的脂肪率(r=0.7)に相関を認め、また肝コレステロールと病理組織学的所見(r=0.7)、肝中性脂肪と病理組織学的所見(r=0.9)にもそれぞれ相関を認めた。 これまでの研究でBIが肝脂肪量及び病理組織学的所見と相関することが明らかとなった。現在の問題点として脂肪肝症例の数が少ないことがあげられ、引き続き症例の蓄積が必要である。次年度は機器を改良し、計画通りin situでの測定を施行する予定である。
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