研究課題/領域番号 |
16K19900
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 貴信 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (40770441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脂肪肝ラット / インピーダンス |
研究実績の概要 |
平成29年度までに行った1.肝インピーダンス測定手法の確立、2.肝切除標本を用いた肝インピーダンス値と脂肪率との解析により、100 kHzのインピーダンス値が病理組織学的脂肪率との相関係数が最も高いこと、インピーダンス値と肝中性脂肪との間にも相関があることが明らかになった(A new rapid method for the measurement of liver steatosis by Bioelectrical Impedance, The joint congress of the 6th A-PHPBA 2017)。問題点としてあがった脂肪肝症例数の不足を解決するため、実験動物を用いての多段階脂肪肝モデル作成およびインピーダンス値の測定、病理学的解析に着手した。 本年度はこれまで60%kcal fatを給餌したラットを用いて脂肪肝モデルの作成およびインピーダンス値の測定、解析に取り組んだ。Pilot studyとして、高脂肪食を6週間給餌したラット3匹と通常食を6週間給餌したラット3匹で測定を行ったところ、高脂肪食のラット3匹の測定結果の方がインピーダンス値は高値であった。しかしながら、病理学的には小脂肪滴の沈着はあるものの、大脂肪滴の沈着は認められなかった。今後14週まで飼育期間を延長したモデルでの測定を予定しているが、11週の際に行った肝生検でもやはり大脂肪滴の沈着は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高脂肪食を用いたモデル作成では小脂肪滴の沈着はあるものの、大脂肪滴の沈着は認められなかった。本来の目的である大脂肪滴沈着に伴う脂肪肝の検出を目指すためには新たなアプローチでのモデル作成が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現在14週まで飼育期間を延長したモデルでの測定に取り組んでいるが、11週の際に行った肝生検でもやはり大脂肪滴の沈着は認められなかった。今後は当初の計画通り、5週間でも大滴性の脂肪沈着が見られるとの報告もあるメチオニン、コリン欠損飼料(MCDD)を用いたモデルの確立を目指す必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではインピーダンス測定を実験動物に用いるにあたり、肝臓の大きさに応じたデバイスの調整、先端器具の開発が必要と考えてこれを計上したが、実際には部品の開発は不要であった。また、実験用器具や実験動物の購入費用が当初計画を下回った。これには研究代表者の異動や関係研究者の変更などによるエフォートの変化も影響した。繰り越した経費は必要な試薬、実験動物の購入費用に引き続き充てる予定である。
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