研究課題
BRCA1機能不全は乳癌の亜型の一つであるBasal-lile乳癌と関連がある。Basal-like乳癌は予後不良であり、この予後不良乳癌の治療開発が早急に望まれる。BRCA1変異細胞でNFkB経路が亢進していることが近年報告された。このことからNFkB経路を抑制するBortezomibがBRCA1機能不全細胞の増殖を選択的に抑制しうるという仮説を立て検討した。BRCA1遺伝子変異による機能不全を伴う乳癌及び卵巣癌細胞株を用いBortezomibに対するin vitroでの薬剤感受性試験を行った。それぞれの細胞株に野生型BRCA1を発現させた細胞をコントロールとして用いた。その結果BRCA1機能不全細胞がBortezomibに対して高感受性を示すことを確認した。またNFkB経路はBRCA1機能不全細胞で亢進し、Bortezomibが抑制することをp65の局在変化の実験系で証明した。同様の結果をsiRNAによるBRCA1発現抑制を用いた実験系でも証明した。これによりBRCA1の遺伝子変異だけでなく、BRCA1の発現低下でもNFkB経路を亢進させ、ともにBortezomibに高感受性を示すことが証明された。また最近の報告で、化学治療前のTriple-negative患者の検体を用いたXenograftを作成し、Bortezomibでの治療を行った論文が発表された(Breast Cancer Research and Treatment (2018) 170:211-234 )。この論文はBRCA1に変異があるTriple-negative乳癌はBortezomibに高感受性であることをあきらかにした。最終年度は臨床検体を用いた実験を行い、BRCA1発現低下を伴うTriple-negative乳癌がBortezomibに高感受性である傾向を導き出した。現在、本研究結果の論文発表にむけて準備している。
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FEBS Open Bio
巻: 10 ページ: 259-267
10.1002/2211-5463.12783