研究課題
当施設で摘出手術を施行した、胆嚢癌44例においてゲノムDNAを抽出した。ゲノムにおいて、クロマチンリモデリング遺伝子複合体であり、近年胆道癌においてその遺伝子変異が注目されている、BAP1の遺伝子の変異について、サンガーシークエンスにより、全エクソンを対照に検索を行った。胆嚢癌症例において、BAP1遺伝子の変異が高頻度に認めることを明らかにした。またホモ欠失と思われる変化も多く認めた。以上より、胆嚢癌においてBAP1遺伝子変異が多いことを示し、その頻度は、次世代シークエンサーを持ちいた海外の報告よりも高いことが明らかとなった。BAP1の臨床標本においても、タンパク質レベルの遺伝子発現を検討するため、全例免疫染色を行ない、また生命予後との比較を行なった。タンパク質におけるBAP1発現と、遺伝子変異は相関しており、遺伝子変異が発現低下の主な原因であると推測された。生命予後に関しては、BAP1発現が低下している症例において有意に予後が不良であった。胆嚢癌のBAP1発現低下および遺伝子変異が、予後不良因子となっていることは、本研究が初めての報告となる。基礎実験では、BAP1の発現低下したモデルを胆嚢癌細胞株で作成した。BAP1の発現低下は、癌細胞の増殖能には直接影響しないが、浸潤能・遊走能を亢進させ、癌の悪性度を増悪させていることを明らかとした。臨床検体より胆道癌細胞の初代培養を施行し、現在まで3株樹立している。1例は浸潤能が著明に亢進している。網羅的な遺伝子解析を施行した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
PLoS One.
巻: 13 ページ: 0206643
10.1371