研究課題/領域番号 |
16K19916
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
稲垣 冬樹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 外科医師 (70529015)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝再生 / 肝切除 |
研究実績の概要 |
肝臓は旺盛な再生能力を持つ臓器であるが、大量の肝切除をおこなって残肝容積が過小になると術後に肝不全を来たす危険が増すことが知られている。そこで術後肝不全を予防するために予定残肝量を増大させる方法として、門脈塞栓術(portal vein embolization:PVE)が1982年に幕内らによって初めて臨床応用された。1990年代に入ると急速にわが国で普及して、肝切除の安全性向上に寄与してきた。 その一方で残肝容積の増大を待つ間に病勢が進行して切除できなくなる症例が少なからずあるという問題点があった。そこで近年、ALPPS・ALPTIPSと呼ばれる新たな二期的肝切除法が行われ始めた。前者は一期目の手術で門脈結紮と完全肝離断をおこない、後者は一期目の手術で門脈塞栓と部分肝離断を行い、残肝容積が増大したところで二期的に肝切除を行う。従来の門脈塞栓術と比較して残肝の増大速度・増大率の面で優れているが、ALPPSでは高い死亡率と合併症率が問題となっている。 本研究は、不明な点の多いALPPS/ALPTIPSの肝再生メカニズムを動物モデルの解析や臨床検体の解析を通じて明らかにして、より安全で効果的な二期的肝切除法の開発へとつなげることを目的とする。 本年度はこれまでに確立したラットALPPSモデルを用いて、ALPPSモデルの肝再生過程を機能的肝再生と形態的肝再生の両面から解析をおこなった。またマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析をおこなって、ALPPSモデルの肝再生過程に特徴的な遺伝子群・Pathwayの絞り込みをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
適応となる症例が少ないため、臨床検体の収集があまり進んでいない
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析の結果をもとに、ラットALPPSモデルの肝再生メカニズムの解析を引き続きおこなう。また臨床検体の解析も順次おこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析の結果を踏まえた解析を次年度におこなうことにしたため (使用計画)動物モデルの解析に加えて、ヒト臨床検体の解析もおこなう
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