研究実績の概要 |
大腸癌症例非癌部腸管におけるCD13によるCD14-CD11cのlow細胞の細分化して大腸癌非癌部腸管より腸管粘膜固有層の抗原提示細胞を単離した。採取細胞を表面抗原マーカー(lineage marker(CD3, CD16,CD19,CD20,CD56), CD11c, CD13, HLA-DR)で染色しFACSにより展開し、Lin-HLA-DR+CD11clowCD14+ (CD14+マクロファージ)、Lin-HLA-DR+CD11cのlowかつCD14-CD13+(CD14-マクロファージ)をsortingした。Lin-HLADR+細胞に占めるCD14-マクロファージとCD14+マクロファージのpopulationはそれぞれ約30%および10%であった。これらの細胞をMay-Giemsa染色をしたところ、CD14+マクロファージおよびCD14-マクロファージともに形態学的には内部に小胞を有するN/C比が比較的大きい細胞であった。末梢血の単球(CD45+CD14+)をコントロールに用いて、AlexaFluor488Rに標識された大腸菌を用いてPhagocytosis assayを行った。CD14+マクロファージ、CD14-マクロファージともに末梢血単球に比較し貪食能が軽微であったが、CD14-マクロファージはCD14+マクロファージに比較し貪食能は低かった。クローン病で腸管切除を行った3例の切除検体を用いて非炎症部および炎症部より上記と同様の方法でCD14+マクロファージとCD14-マクロファージを回収した。CD14-マクロファージは炎症状態の腸管では減少し、CD14+マクロファージは炎症状態の腸管では増加していた。上記結果よりCD14-マクロファージは貪食能が弱く炎症性腸疾患において減弱していることから、免疫寛容の働きを持っている可能性が示唆された。
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