肝癌に対する肝切除は最も効果的な治療法の一つだが、術後合併症や癌の再発が一定の割合で起こることが課題として残されている。その一因として肝切除後の血液凝固異常が挙げられるが、有効な治療法は報告されていない。今回のわれわれの検討では、抗トロンビン作用を示す可溶性トロンボモジュリン製剤の投与により、肝障害や癌の生着を予防する可能性が示された。同薬剤は既に感染症などによる血液凝固異常に対して日常的に使用されており、臨床応用への可能性は高い。実臨床における肝癌の肝切除の安全性や、長期成績の向上が期待される。
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