食道全層の再生を目指した本研究では,細胞ソースとしてマウス食道幹細胞,足場として脱細胞化したラット食道を用いた.マウス食道上皮から採取した細胞群からFACSでCD34陽性細胞を回収し,培養することで食道幹細胞を単離することができた.ラット食道は既報告の方法に沿って脱細胞化させることができた.脱細胞化したラット食道にマウス食道幹細胞を播種・培養し,顕微鏡下に扁平上皮様細胞層が形成されていることを確認し,皮下移植モデルを作成したが,移植した食道の虚脱に伴い紐状の線維組織に置換された.一部で重層扁平上皮細胞層も確認することができたが,食道全層を再現するまでには至らなかった.
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