研究実績の概要 |
マウス70%肝切除モデル術後血清における経時的な糖鎖動態をレクチンアレイ法にて解析、肝再生血清糖鎖マーカーとしてWFA+-tenascinを同定した。生体肝移植ドナー術後保存検体(開腹時、閉腹時、術後1日目、3日目、7日目)を用いて、WFA+-tenascinの動態について検討したところ、術後1日目に有意な上昇を認め、ヒトにおいても有用な肝再生マーカーとなることが明らかとなった。生体肝移植ドナー術後CT-3DVolumetryを用いて肝再生率との相関を検討したところ、有意な負の相関(p<0.0001)を認めた。背景肝疾患での検討を行うと、劇症肝炎は急性肝炎、重症肝炎に比べ有意にWFA+-tenascinが高値(8251 vs. 609, 2814, p=0.0003, p=0.0121)であった。続いて、WFA+-tenascinと既知の予後予測である、MELD scoreや武藤の予後予測式との相関を検討したところ、有意な正の相関(p<0.0001, p=0.0019)を認め、予後予測として有用である可能性が示唆された。最後にWFA+-tenascin値と予後との関連(生存群、死亡群)を検討し、死亡群ではWFA+-tenascin値が有意に高い結果であった(6817 vs.2679, p=0.0211)。ROCよりcut-off値を5700と決定し、予後予測式との有用性を検討した。69例の検討で、特異度88%、感度53%であり、急性肝不全における予後予測として有用であることが示された。
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