研究課題
肝細胞癌の主な原因肝疾患としてC型肝炎、B型肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝(炎)[Non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD (Non-alcoholic steatohepatitis:NASH)]が知られている。中でもNAFLD(NASH)は主に欧米で増加している疾患として知られていたが、近年本邦においてもその罹患率は増加しつつあり、NAFLD(NASH)から発生した肝細胞癌も増加している。近年、Transmembrane 6 superfamily member 2 (TM6SF2) がNAFLDからNASHへの進展を予測する因子として同定され、NAFLD(NASH)及び動脈硬化性疾患のリスクファクターとして有用であることが報告された(Nat Genet. 2014, Hepatology. 2015)。本研究ではTM6SF2のNASH-HCC発癌における役割を明らかにする事を目的とする。我々はこれまでに、パブリックデータベースを用いた解析を行い、TM6SF2の機能解析を行ってきた。NASH肝組織のマイクロアレイデータベース(GSE49541)を用いて、TM6SF2高発現症例において発現が上昇している遺伝子セットをGSEA (Gene Set Enrichment Analysis)を用いて解析したところ、TM6SF2高発現症例において脂肪酸代謝、酸化的リン酸化、アディポジェネシス等が亢進している事が明らかとなり、TM6SF2がこれらの反応を制御している可能性が示唆された。また、肝細胞癌組織のマイクロアレイデータベースであるGSE9843、GSE16757を用いた解析においてもTM6SF2高発現症例において脂肪酸代謝、アディポジェネシス等が亢進しており、これらの代謝経路を介して肝細胞癌の悪性度に寄与している事が示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
Cancer Science
10.1111/cas.14010
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