研究課題
膵臓癌検体採取は、最近では超音波内視鏡下生検でも得ることが可能であるが、確実な採取には摘出標本からの採取が必要となる。しかし、膵臓癌手術は術前にて化学療法もしくは化学放射線療法といった前治療が加わり、がん細胞内において様々な修飾が加わっている可能性が高い為、まずは比較的検体採取容易な食道扁平上皮癌(Esophagus Squamous Cell Carcinoma: ESCC)のオルガノイド培養が可能かどうかを実験した。方法として、 ①未治療の進行食道扁平上皮癌患者において上部食道内視鏡下に、腫瘍部より組織を生検鉗子にて採取後、1時間以内に酵素処理などにて腫瘍を細断化 ②マトリゲルと包埋し24 wellプレートを使用し、EGF (Epidermal Growth factor)、 Noggin、R-spondinなど各種増殖因子を入れた培養液とともに培養 ③10-12日後にできたオルガノイドの個数、形態、大きさを顕微鏡下にて評価し、さらに免疫染色による増殖能の評価を行うという手順とした。ここまでの結果として、9例中6例(67%)にて食道扁平上皮癌からオルガノイドを形成することができた。HE染色にてオルガノイドを形態学的に分類し比較検討すると、低分化の扁平上皮癌に類似したオルガノイドでは免疫染色にて高い増殖能を示した。また、食道扁平上皮癌の細胞株でも同様の実験を行うと、低分化のSCCに類似した構造のオルガノイドを形成した。これらより、食道扁平上皮癌からのオルガノイド培養は短期間にて培養可能である可能性が示された。
3: やや遅れている
比較的検体採取が容易な進行食道癌細胞のオルガノイド培養が可能であることが、これまでの研究で分かった。しかしながら、当初予定していた膵臓癌オルガノイド培養は、前治療を受けている場合が多くを占めているため、検体採取に難渋しており、この点で研究がやや遅れている。
食道癌細胞のオルガノイド培養を進め、オルガノイド培養細胞の特徴を解明していく。膵臓癌細胞オルガノイド培養は、まずは細胞株レベルでの培養を試みてみる。
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