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2016 年度 実施状況報告書

臨床応用を目的とした膵癌リンパ管新生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19947
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

齊藤 健太  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10770240)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード膵癌 / リンパ管新生 / K-ras mutation / VEGF-C
研究実績の概要

膵癌のリンパ節転移メカニズムの解明は十分とはいえない.その理由として,(a)リンパ管内皮細胞の分離培養法が確立されていなかった,(b)免疫染色で用いる抗リンパ管内皮細胞抗体の特異性が必ずしも高くなかった点などがあげられる.しかしながら近年,リンパ管内皮細胞の分離継代培養が可能になり,VEGF-CやVEGF-Dといったリンパ管新生増殖因子も同定された.また,リンパ管内皮細胞に特異性の高い抗体も確立された.これらをもとにリンパ節転移能の異なる膵癌細胞株の分子生物学的特徴を検討し,抗リンパ節転移治療の確立を目的として平成28年度は以下の研究を行った.(1)膵癌細胞株を定量PCRを用いてVEGF-CのmRNA発現量の差異を比較検討した(2)同様に膵癌細胞株の培養上澄を用いてELISAでVEGF-C蛋白の発現量の差異を検討した.これらより,膵癌細胞株をVEGF-C強発現株(MIA PaCa-2)と低発現株(BxPC-3)に分類した.(2)膵癌細胞株とリンパ管上皮細胞,線維芽細胞をdouble chamberを用いて約2週間共培養し,リンパ管上皮細胞に特異的に反応するpodoplanin抗体を用いてリンパ管上皮細胞を染色し,リンパ管上皮細胞の管腔形成を比較した.VEGF-C低発現株に比べVEGF-C高発現株との共培養で,リンパ管新生は亢進していることが確認できた.これらより,膵癌においてもVEGF-Cがリンパ管新生に強く関与していることが明らかとなった.次にVEGF-C発現を制御する上流シグナルを検討するために,K-ras突然変異に着目した.MIA PaCa-2はK-ras点突然変異を認めるが,BxPC-3はK-ras点突然変異を認めない.VEGF-Cの発現を制御するシグナルの解明はされていないため,今後は膵癌の90%に認めるK-ras点突然変異に着目してリンパ管新生を検討することも行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

膵癌細胞株をVEGF-C高産生株(MIA-PaCa-2)とVEGF-C低産生株(BxPC-3)に分類した.独自のin vitro lymphangiogenesis assayを用いてリンパ管新生能に差があることを確認した.膵癌細胞を線維芽細胞とリンパ管上皮細胞と共培養してリンパ管新生能を検討するアッセイは教室オリジナルである.しかしながら当初の計画よりもやや遅れており,VEGF-DやKras点突然変異とリンパ管新生の関係を検討し,動物実験を行っていく.

今後の研究の推進方策

VEGF-DやKras点突然変異とリンパ管新生の関係を検討し,動物実験を行っていく.
(3)VEGF-Cと同様に,定量PCRおよびELISAで膵癌細胞株のVEGF-Dの発現を比較検討し,高VEGF-D発現株,低VEGF-D発現株に分類する.In vitro lymphangiogenesis assayで両群のリンパ管新生能を比較検討する.
(4) K-Ras癌遺伝子の活性化とリンパ管新生刺激因子産生との関連の検討 4-1.正常膵管上皮細胞(HPDE) と K-Ras4BG12V導入 HPDE 株(HPDE-KRas) を用いて,活性化K-RasがVEGF-CおよびVEGF-Dの産生を増加することを確認する.4-2.WB でK-Rasの活性化がリンパ管新生に関わる下流シグナルを検索する.
(5) 膵癌細胞株のリンパ管新生能およびリンパ節転移能の検討(in vivo)
膵癌細胞をヌードマウスに同所性移植し,腫瘍周囲および腫瘍内リンパ管新生を観察する.また,リンパ管新生とリンパ節転移の相関性を評価する.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Enhancement of the CXCL12/CXCR4 axis due to acquisition of gemcitabine resistance in pancreatic cancer: effect of CXCR4 antagonists.2016

    • 著者名/発表者名
      Morimoto M, Matsuo Y, Koide S, Tsuboi K, Shamoto T, Sato T, Saito K, Takahashi H, Takeyama H.
    • 雑誌名

      BMC Cancer

      巻: 16 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1186/s12885-016-2340-z

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 再発・合併症のない手術手技 TAPP法2016

    • 著者名/発表者名
      齊藤健太、竹山廣光
    • 雑誌名

      消化器外科

      巻: 39 ページ: 449-457

  • [雑誌論文] Natural foodを科学する~Zerumboneの膵癌に対する化学予防と抗腫瘍効果2016

    • 著者名/発表者名
      松尾洋一、社本智也、森本 守、坪井 謙、佐藤崇文、齊藤健太、今藤裕之、竹山廣光
    • 雑誌名

      栄養-Trends of Nutrition-

      巻: 1 ページ: 16-19

  • [学会発表] 悪性リンパ腫治療中に膵腫瘍部穿孔による膵液瘻をきたした1例2016

    • 著者名/発表者名
      社本智也、松尾洋一、坪井 謙、森本 守、佐藤崇文、齊藤健太、今藤裕之、石黒秀行、竹山廣光
    • 学会等名
      第78回日本臨床外科学会総会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪(東京都・港区)
    • 年月日
      2016-11-24 – 2016-11-26
  • [学会発表] 膵癌血管新生におけるGroαの役割2016

    • 著者名/発表者名
      松尾洋一、森本 守、坪井 謙、社本智也、佐藤崇文、齊藤健太、高橋広城、石黒秀行、若杉健弘、坂本宣弘、田中達也、佐川弘之、寺下幸夫、竹山廣光
    • 学会等名
      第14回日本消化器外科学会大会
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2016-11-03 – 2016-11-06
  • [学会発表] Gemcitabine耐性に伴う膵癌血管新生・浸潤能の変化とサイトカインシグナルの役割2016

    • 著者名/発表者名
      松尾洋一、森本 守、小出修司、齊藤健太、佐藤崇文、坪井 謙、社本智也、高橋広城、竹山廣光
    • 学会等名
      第25回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 発表場所
      米子コンベンションセンター(鳥取県・米子市)
    • 年月日
      2016-07-21 – 2016-07-22
  • [学会発表] 腎細胞癌膵転移症例の検討2016

    • 著者名/発表者名
      社本智也、松尾洋一、坪井 謙、森本 守、高橋広城、齊藤健太、佐藤崇文、竹山廣光
    • 学会等名
      第25回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 発表場所
      米子コンベンションセンター(鳥取県・米子市)
    • 年月日
      2016-07-21 – 2016-07-22
  • [学会発表] 膵癌血管新生におけるENA-78/CXCL5の役割2016

    • 著者名/発表者名
      松尾洋一、森本 守、坪井 謙、社本智也、佐藤崇文、齊藤健太、高橋広城、石黒秀行、若杉健弘、竹山廣光
    • 学会等名
      第71回日本消化器外科学会総会
    • 発表場所
      あわぎんホール(徳島県・徳島市)
    • 年月日
      2016-07-14 – 2016-07-16
  • [学会発表] 胆嚢摘出術後に仮性肝動脈瘤を認めIVRにて治療した2例の検討2016

    • 著者名/発表者名
      社本智也、松尾洋一、中屋誠一、齊藤健太、佐藤崇文、坪井 謙、森本 守、高橋広城、若杉健弘、竹山廣光
    • 学会等名
      第71回日本消化器外科学会総会
    • 発表場所
      あわぎんホール(徳島県・徳島市)
    • 年月日
      2016-07-14 – 2016-07-16
  • [学会発表] 膵癌発癌に関わる血管新生因子~Kras点突然変異の役割と下流シグナルの解明2016

    • 著者名/発表者名
      松尾洋一、森本 守、佐藤崇文、坪井 謙、社本智也、齊藤健太、高橋広城、若杉健弘、竹山廣光
    • 学会等名
      第116回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府・北区)
    • 年月日
      2016-04-14 – 2016-04-16

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公開日: 2018-01-16  

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