研究計画書の内容に沿って、研究を進めている。これまでは、実験条件の設定について停滞している部分があった。しかしながら、研究期間最終年度になり、条件設定等に改善がみられ、基礎実験の部分に関しては実験計画通りに進行できた。 本研究において、CpG-ODN単独療法において、自然免疫の活性化のみならず獲得免疫が誘導されるかを前年度に引き続き探索を行った。mouse cell lineを皮下接種し、皮下担癌マウスモデルを作成し、CpG-ODNを用いて、全身投与群、腫瘍内投与群、または非治療群における抗腫瘍効果の検討を行った。結果、いずれのcell lineにおいても、腫瘍内投与群でのみ、有意に抗腫瘍効果を認めた。次に、両鼠径部にcell lineを皮下接種し、両側鼠径部の担癌マウスモデルを作成し、CpG-ODNを用いて、全身投与群、片側腫瘍(右鼠径部腫瘍のみ)への腫瘍内投与群、または非治療群における抗腫瘍効果の検討を行った。片側腫瘍への腫瘍内投与群において、両側腫瘍での抗腫瘍効果が認められた。その他の2群では抗腫瘍効果は得られなかった。以上の結果から、CpG-ODNを腫瘍内投与することで、皮下担癌マウスモデルにおいて、自然免疫の活性化およびそれに引き続く獲得免疫の活性化の可能性を考えられた。この結果から、その免疫学的メカニズムをはじめとして、さらに膵癌Xenograftマウスモデルの作成をおこなう計画であったが、モデル確立に計画よりも時間を要したため、来年度に持ち越し研究を継続する予定としている。このpreclinical studyとしての研究を経た後、研究計画に示したPD-1抗体等との併用による複合免役療法の確立に向けてその可能性を探るべく研究計画をすすめていく予定である。
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