研究課題
本研究課題では癌細胞由来の血漿遊離DNA(Circulating tumor DNA; ctDNA)が微量な癌の存在や治療効果判定に有用なバイオマーカーになる可能性を検証した。さらに同一腫瘍内heterogeneityがctDNAに及ぼす影響を検証するとともにタンパク解析を行うことで治療薬剤選択の指標となるactionable mutationの検索も行うことを目標とした。StageⅢ以上の進行大腸癌を対象とし、heterogeneityを検証するために切除標本より3ヶ所サンプルを採取した。現在51症例が登録され、腫瘍サンプルは150以上、血漿サンプルにおいては900本以上を保有している。登録症例のうち14腫瘍(42サンプル)に対して151遺伝子を標的とした遺伝子パネルを用いた次世代シークエンス解析(Next generation sequencer: NGS)を行い、同定された遺伝子変異の総数は76種類、平均9個/腫瘍であった。78.6%(11/14腫瘍)に3ヶ所非同一変異を認めた。mutant allele frequency(%)は3ヶ所同一変異(32.7%)より3ヶ所非同一変異(20.9%)で低値(p<0.01)であった。同定された変異に対してPrimer/Probeを作成し、原発巣による動作確認を行い80%(16/20個)が確認できた。KRAS等のHot Spot変異と作成した変異のProbeを用いてdigitalPCRによるctDNAのモニタリングは85%(12/14腫瘍)可能であった。さらに術後残存腫瘍の可能性や化学療法中の効果判定、6ヶ月早い再発診断などを示唆するctDNAの変化をモニタリングできた。今後は症例を重ねモニタリングに適した変異の選択基準や大腸癌用遺伝子パネル作成し効率化を図るとともにctDNAを補助診断に用いた臨床応用を検討する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Colorectal Disease
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