研究課題
食道扁平上皮癌の変異を効率的に検出しうる31遺伝子を標的とした食道癌パネル (SCC panel)を作成し、食道癌25例の原発巣の次世代シークエンサー (NGS)解析で1腫瘍に平均9個の変異が検出可能であった。治療経過中の患者血漿の集積は当初は従来の血漿分離採血管では採血後2時間以内の遠心操作が必要で時間的制約が大きかったが、採血後2週間まで血漿DNAを安定して保存可能なBCT採血管 (Streck社)を採用し大幅に改善した。健常人および食道癌患者治療前後の血液検体を用いた従来採血管とBCT採血管の比較検討を行いBCTの有用性を示した。血漿中の腫瘍細胞由来DNA (ctDNA)の検出にはdigital PCR (dPCR)システムを用いて行った。現在ctDNA解析にはNGSあるいはdPCRが用いられている。NGSでは複数の遺伝子領域を検索可能であるが解析にコストや時間を要する欠点があり、逆にdPCRは解析は数時間で低コストでモリタリングに向いているが1解析で解析可能な変異が1~数個に限定される欠点がある。したがってdPCRを用いたctDNA解析はKRAS, BRAF, EGFRなどのhotspot変異に関する報告が多いが、われわれのシステムは症例特異的変異についてProbeをデザインするものであり汎用性が高い。原発巣で検出された複数の変異のうち、同一症例では変異アリル頻度 (Mutant allele frequency: MAF)の高い変異程ctDNAの検出頻度および血漿中ctDNAのMAFも高値を示した。したがって原発巣のMAFが10%以上の変異について1症例1~3個の症例特異的変異を用いてdPCR解析を施行した。Stage II以上では全例治療前ctDNAが陽性であり、治療効果や再発に応じてctDNAが変動することを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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