研究課題/領域番号 |
16K19954
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井上 正純 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10627136)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / ケモカイン / IL-8 / CXCR2 |
研究実績の概要 |
ケモカインであるIL-8およびそのレセプターCXCR2を高発現している食道扁平上皮癌細胞株TE4を用いて、食道扁平上皮癌細胞動態におけるIL-8/CXCR2ネットワークの役割について実験を進めた。これまでに1)in vivoにおいてTE4をIL-8添加血清で培養してIL-8/CXCR2ネットワークを刺激した場合、あるいはlipofection法によりIL-8を強発現させたTE4 transfectant(TE4-IL-8over)においてTE4の細胞増殖能が有意に亢進する。2)in vivoにおいてCXCR2 antagonistを作用させてIL-8/CXCR2ネットワークを抑制するとTE4の細胞増殖能が抑制される。3)in vitroにおいてTE4およびTE4 transfectantをヌードマウスの皮下に移植し、腫瘍増大能を比較するとTE4 transfectantで腫瘍増殖能が亢進し、CXCR2 antagonistを腹腔内に投与することによって腫瘍増殖が抑制されることを明らかにした。これらの再実験を行うとともに、TE4において、siRNAを用いてIL-8発現を抑制した場合に細胞増殖能が抑制されることを明らかにし、IL-8/CXCR2ネットワークが食道扁平上皮癌細胞増殖に関与していることが更に裏付けられた。また、食道扁平上皮癌の切除検体において、IL-8およびCXCR2の発現を免疫染色で調べ、予後との関連を検討したところ、IL-8/CXCR2ネットワーク発現群が非発現群と比較して有意に予後不良であることが明らかとなった。 更に、TE4において、IL-8添加培地で培養してIL-8/CXCR2シグナルを刺激した場合にどのようなシグナル伝達系への変化が起こるかをmicroarrayおよびIPAで解析したが、こちらの方は現在のところまだ有意な結果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでのところ仮説に一致する結果が得られているが、実験に取り組むための時間的な制約があり、実験計画自体は遅滞している。
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今後の研究の推進方策 |
食道扁平上皮癌細胞株におけるIL-8/CXCR2シグナルの細胞増殖への関与が示されたため、癌細胞動態における更なる役割を明らかにすべく、下記の通り細胞増殖以外への役割について検討する。 1)IL-8/CXCR2シグナルの刺激・抑制によって癌細胞の遊走能に影響が起こるかを検討する。 2)動物モデルを用いてCXCR2阻害薬のSB225002投与により食道扁平上皮癌の転移抑制が可能か検討する。 また、臨床応用を目指す基礎研究として3)in vivoにおいてIL-8/CXCR2シグナル抑制が抗癌剤の抗腫瘍効果に相乗効果をもたらすかどうか、4)放射線照射への上乗せ効果はあるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費および人件費・謝金を計上したが使用せず,物品費とその他に充てたため。
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次年度使用額の使用計画 |
すべて試薬や実験動物,飼料などの消耗品に充てる予定である。
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