腹部外科手術後の腹腔内癒着のメカニズムについて実験を行った。PAI-1の遺伝子欠損および阻害薬では、PAI1の活性化は抑制され、tPA、Plasminの活性化が認められ、線溶系の促進により癒着が解消された。癒着組織にはマクロファージ(Mq)、T、B細胞の浸潤が認められた。Rag2欠損マウスやクロドロン酸を用いることで、Mqがもっとも癒着に関与する細胞であった。PAI1によりMqの動員が誘導された。またMqはEpidermal growth factor(EGF)の分泌に関与していた。PAI1は腹膜上皮中皮細胞が担当しており、中皮細胞上でEGFRを介して強固な癒着が形成される可能性が示唆された。
|