研究課題/領域番号 |
16K19957
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
杉本 起一 順天堂大学, 医学部, 助教 (30407275)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,癌患者の血漿DNAメチル化の不均一性(Heterogeneity)を超高感度に解析し,予後予測因子および治療効果予測因子としての意義を探求し確立することである.DNAメチル化は,癌の発生や進行に重要な役割を果たし,これまで多くの遺伝子のDNAメチル化が同定されてきた.さらに近年では,癌組織におけるDNAメチル化の不均一性も指摘され,その不均一性と,同じ癌腫における異なる悪性度や,治療抵抗性における多様性との関連が示唆されてる.本研究は,我々が開発を進めてきた超高感度かつ特別な機器を必要としない安価な解析手法を用い,大腸癌のDNAメチル化不均一性の解析を行う.そしてその不均一性が予後に与える影響を明らかにし,抗癌剤や放射線の治療効果予測因子であることを証明する非常に重要性の高い研究である. 現在,大腸癌症例約80例の血漿からDNAを抽出し,循環DNAのメチル化を解析している.現時点での結果では,DNAメチル化の程度は症例のステージとの相関を認めており,StageIV症例ではI~III症例と比較してメチル化の程度が有意に高いという結果が得られている.したがって,この結果からは血漿のDNAメチル化の程度を評価することにより,予後予測に有用である可能性が考えられる.ただし,必ずしも感度が高いアッセイとはいえず,StageIV症例でもメチル化が検出出来ない症例も認められる.したがって,本研究の目的であるメチル化特異的高解像度融解曲線分析による検討が必要であると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,大腸癌症例約80例の血漿からDNAを抽出し,循環DNAのメチル化を解析している.現時点での結果では,DNAメチル化の程度は症例のステージとの相関を認めており,StageIV症例ではI~III症例と比較してメチル化の程度が有意に高いという結果が得られている.したがって,この結果からは血漿のDNAメチル化の程度を評価することにより,予後予測に有用である可能性が考えられる.ただし,必ずしも感度が高いアッセイとはいえず,StageIV症例でもメチル化が検出出来ない症例も認められる.したがって,本研究の目的であるメチル化特異的高解像度融解曲線分析による検討が必要であると考えている.予定症例数に向けて症例を集積している.
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今後の研究の推進方策 |
予定症例数に向けて症例を集積している.また,本研究の目的であるメチル化特異的高解像度融解曲線分析による検討が必要であると考えているが,検出されるDNAメチル化不均一性が臨床的な意義を持つものか,あるいは,臨床的な意義が乏しいものかについては長期予後を含めた臨床病理学的因子との比較が必要であり,今後の検討課題である.
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次年度使用額が生じた理由 |
血漿におけるDNAメチル化の検出の精度を検証するためには,症例ごとに複数回の測定が必要であり,それに伴い必要な試薬の量と種類が増えたため,次年度使用額が増えたと考えている.
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