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2016 年度 実施状況報告書

カベオリン1発現調節による固縮軽減の試み-ラット脊髄虚血モデルにおける検討-

研究課題

研究課題/領域番号 16K19969
研究機関琉球大学

研究代表者

神里 興太  琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10554454)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード痙性麻痺
研究実績の概要

一過性脊髄虚血後痙性麻痺モデルラットに対するカベオリン1過剰発現による鎮痙効果
アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子導入によるCav1の過剰発現による固縮の改善を電気生理学的に検討した.
痙性対麻痺モデルの作成:雄性SDラットを空気+イソフルランによる麻酔後, 2F Fogatyカテーテルを左大腿動脈から挿入した(約11cmで胸部下行大動脈へ到達).左内頚動脈から20Gテフロン針を挿入した.Fogatyカテーテルの先端バルーンを膨らませ大動脈を遮断し,同時に左内頚動脈から脱血し低血圧にすることで10分間の脊髄虚血を行った。虚血後麻酔から覚醒させ,数日間観察し,痙性対麻痺を呈したラットを使用した.
CAV1過剰発現のためのウイルス注入と鎮痙効果の評価:痙性麻痺をきたしたラットを空気+イソフルランによる麻酔後,顕微鏡下にTh10-11椎弓切除術を施行した.椎弓切除後に硬膜および軟膜を切開した.軟膜切開部位よりポリエチレン性細径カテーテル( PE-5 )を1.0cm尾側に向けて挿入した。経カテーテル的にAAV9-Syn-CAV1を注入した( 対照群としてAAV9-Syn-RFP/GFPを用いる ).ウイルス注入後はカテーテルを抜去し,閉創した.本年度中に手術法(ウイルス注入方法)に関して以下の通り改良した.
手術法の改良:手術に際し、注入用カテーテルで神経障害をきたした経験はなかったものの,より低侵襲な遺伝子導入を目指しポリエチレンPE-5カテーテルよりもさらに細い35G注入針を開発した.(研究協力者とともに論文投稿中)
痙性対麻痺の評価:運動機能評価法であるBBB scoreを用いて評価した後,運動誘発電位を用いて痙性の強さと脊髄における電気生理学的状態を評価した.その結果BBBスコアが改善する傾向を示した.一方で運動誘発電位は有意差がなく,さらなる検討が必要な状況である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では電気生理学的検討まで終了する予定であったが、生理学的検討が終了していいない.その理由として上に示した通り、手術手技の改良を行いより神経損傷が少ない手術手技を開発したためである。今後は新たな手技により安定した結果がえられる事が期待される.その結果、当該年度は進展がやや遅れていると判断した.

今後の研究の推進方策

痙性対麻痺ラット脊髄におけるCav1の過剰発現による痙性の改善に関する電気生理学的検討に加え,分子生物学的・組織学的検討を行う
AAV9-Syn-CAV1による組織中でのCav1組織学的変化についての検討: 痙性対麻痺ラット脊髄を用い検討する.脊髄虚血後前(n=6),虚血後1日(n=6),遺伝子導入後7日(n=6),遺伝子導入後21日(n=6),遺伝子導入後42日(n=6)で検討を行う.ラットは全身灌流固定後に脊髄を摘出し,凍結切片を作成する.
凍結切片を用い,Cav1,Synaptphysin,MAP2各種抗体やNeuN、GFAPとIba1を用いて免疫組織染色を施行する予定である.それぞれの経時変化,局在性を顕微鏡下(蛍光およびレーザー共焦点顕微鏡下)に観察する.
AAV9-Syn-CAV1による遺伝子導入によるCav1過剰発現に関する分子生物学的検討:痙性対麻痺ラット脊髄を用い検討する。脊髄虚血後1日,遺伝子導入後7日,遺伝子導入後42日で検討を行う.ラットから新鮮脊髄組織(腰髄膨大部)を採取する.採取した新鮮脊髄組織からmembrane lipid raft上のCav1の量を計測するため,蔗糖密度勾配遠心法でfraction4及び5の分画のCav1の量を定量する計画である.
これらの検討により,CAV1による神経軸索伸長促進が痙性麻痺に及ぼす影響を詳細に検討することができると確信している.
以上の検討は当施設あるいは協力施設(具体的にはカリフォルニア大学サンディエゴ校,奈良県立医科大学)において全て実施可能な検討である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Potent spinal parenchymal AAV9-mediated gene delivery by subpial injection in adult rats and pigs.2016

    • 著者名/発表者名
      Miyanohara A, Kamizato K, Juhas S, Juhasova J, Navarro M, Marsala S, Lukacova N, Hruska-Plochan M, Curtis E, Gabel B, Ciacci J, Ahrens ET, Kaspar BK, Cleveland D, Marsala M.
    • 雑誌名

      Mol Ther Methods Clin Dev

      巻: 3 ページ: 16046

    • DOI

      10.1038/mtm.2016.46. eCollection 2016.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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