痙性対麻痺モデルの作成:雄性SDラットを空気+イソフルランによる麻酔後,2F Fogatyカテーテルを左大腿動脈から挿入した(約11 cmで胸部下行大動脈へ到達).左内頚動脈から20Gテフロン針を挿入した.Fogatyカテーテルの先端バルーンを膨らませ大動脈を遮断し,同時に左内頚動脈から脱血し低血圧にすることで10分間の脊髄虚血を行った。虚血後麻酔から覚醒させ,数日間観察し,痙性対麻痺を呈したラットを使用した. CAV1過剰発現のためのウイルス注入と鎮痙効果の評価:痙性麻痺をきたしたラットを空気+イソフルランによる麻酔後,顕微鏡下にTh10-11椎弓切除術を施行した.椎弓切除後に硬膜および軟膜を切開した.軟膜切開部位より35G注入針を0.5cm尾側に向けて挿入した.経カテーテル的にAAV9-Syn-CAV1を注入した( 対照群としてAAV9-Syn-RFP/GFPを用いた ).ウイルス注入後は抜去し,閉創した. 痙性対麻痺の評価(再現実験):.運動機能評価法であるスコアが改善する傾向を示した.一方で運動誘発電位は有意差がなく,さらなる検討が必要な状況である. 痙性対麻痺ラット脊髄におけるCav1の過剰発現による痙性の改善に関する電気生理学的検討に加え,分子生物学的・組織学的検討を行う AAV9-Syn-CAV1によるCav1組織学的変化についての検討: 痙性対麻痺ラット脊髄を用い検討した.脊髄虚血後前,虚血後1日,遺伝子導入後7日,遺伝子導入後21日,遺伝子導入後42日で検討した.脊髄凍結切片を用い,Cav1,Synaptphysinを用いて免疫組織染色を施行した.ウイルス投与群において早期から脊髄全体でのCav1の増加を認めた.Synaptpysinの密度増加も合わせて確認することができた.
|