研究課題
本研究は、肺癌に対するNKT細胞を用いた免疫療法の有効性の向上のため、新たな免疫療法を確立することを目的する。AhRシグナルがPD-L1の発現を抑え、NKT細胞によるIFN-γ等のサイトカイン産生及び細胞障害活性を上げるという仮説に基づき以下の実験を行ってきた。AhRリガンドの存在下で培養したNKT細胞表面上ではPD-L1の発現が減少したがPD-L2の発現に変化は見られなかった。逆に、AhRアンタゴニストの添加によりAhRシグナルを抑制した状態で培養したNKT細胞上ではPD-L1の発現が大きく上昇することが明らかとなった。しかしながらそれぞれの条件で培養したNKT細胞と肺癌細胞株A549との共培養を行ったところ、AhRリガンドもしくはアンタゴニスト投与によるNKT細胞の抗腫瘍効果における変化は認められなかった。単球の樹状細胞培養条件にAhRリガンドを添加すると分化した樹状細胞のPD-L1の発現が減少し、PD-L2においては発現が顕著に抑制された。逆にAhRアンタゴニストを添加するとPD-L1, PD-L2の発現が上昇した。さらにAhRリガンドを添加条件した樹状細胞が、NKT細胞をより活性化させ、高いサイトカインの産生を誘導することが明らかになった。本研究から現行のNKT細胞療法に加えて、AhRリガンドを添加して樹状細胞を作成することにより、より効果的にNKT細胞を活性化させるという次世代のNKT細胞療法の可能性が示唆された。
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Pediatr. Surg. Int.
巻: 34 ページ: 169-176
10.1007/s00383-017-4185-1
巻: 34 ページ: 195-201
10.1007/s00383-017-4189-x