研究課題/領域番号 |
16K19975
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
羽切 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40647476)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 胸腺腫 / PD-L1 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
・胸腺腫の外科切除検体による遺伝子異常の網羅的な検索について、外科検体は80例前後あり、これを用いた次世代シークエンサーによる遺伝子異常の網羅的な検索を試みている。しかし、現時点でまだ有望な遺伝子変異は見つかっていない。外科症例の検体採取同意を積極的に行い、外科検体標本数をさらに増やし、引き続きH29年度も胸腺腫の遺伝子異常の網羅的解析を継続する予定である。 ・現在は胸腺腫の細胞株樹立を主に行っており、複数の細胞株樹立に成功している。この細胞株を用いて胸腺上皮に特異的なたんぱく発現パターンを免疫染色などで評価している。今後も切除検体や胸水を用いて細胞株の樹立を増やし、たんぱく発現パターンの解析などを行っていく予定である。 ・またヌードマウスを用いた腫瘍形成モデルの作成を試みている。ヌードマウスの左側腹部皮下に胸腺腫細胞株を注入して腫瘍形成能の確認と異種移植片モデルの確立を試みているが、いまだ成功していない。今後も引き続き腫瘍形成モデルの作成を試みていく予定である。 ・今までに採取された検体のパラフィンブロックを薄切して、特殊染色(免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1)染色)を行った。その結果より、3-4期の進行期胸腺腫や胸腺癌にPD-L1陽性(1%以上染色される)が多いことが判明した。またPD-L1が発現してる胸腺腫患者は予後不良となる可能性が示唆された。この結果は2017年呼吸器外科学会にて発表予定である。 ・当科で行っている胸腺腫の切除方針について、2016年の世界肺癌学会(ウィーン)で発表し、有意義な討論を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外科検体の減少のため、新たな細胞株樹立に時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
積極的に臨床試験に同意をいただき、検体数を増やす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画よりも細胞株樹立が遅れており、遺伝子解析がまだ軌道に乗っていないため。
|
次年度使用額の使用計画 |
細胞株樹立数を増やし、多くの細胞株で遺伝子解析を迅速に行っている。
|