研究課題
PD-L1(Programmed death ligand 1)は様々な癌腫で予後不良と考えられ、我々は胸腺腫患者においてPD-L1発現が予後因子として有用か調査した。2004~2015年に切除した81例の胸腺腫患者において、PD-L1発現を切除検体を免疫組織染色して1%以上のPD-L1発現を陽性、それ以下を陰性と評価してPD-L1発現と臨床組織的な関係を調査した。その結果、PD-L1 発現は陽性22 例(27%)、陰性59 例(73%)で、陽性例と陰性例で年齢中央値、男/女比、重症筋無力症合併、最大腫瘍径中央値、R0切除、導入療法有無で、いずれも両群に差は認めなかった。一方、組織型は陽性例にB2/3 が多く(p<0.001)、正岡古賀病期は陽性例に進行例が多かった(p=0.048)。現在までに原病死は両群ともになく、再発は3 例(14%)対5 例(8.5%)であった。5年生存率(OS;%)78対96、10年OS 62対80でPD-L1 陽性群は有意に予後不良であった(p=0.028)。一方で5年無再発生存率(DFS;%)88対83、10年DFS 88 対63で両群間に差は認めなかった(p=0.57)。OS に関する多変量解析では、高齢とPD-L1 陽性が予後不良な傾向にあったが、有意差は認めなかった。またDFS に関する多変量解析でもPD-L1 発現は予後不良因子とならなかった。結論として、我々は胸腺腫におけるPD-L1 高発現がWHO 分類B2/B3 と3/4 進行期胸腺腫に有意に相関していることを明らかにした。この結果は2017年呼吸器外科学会、2018年の欧州臨床腫瘍学会ESMO(ドイツ・ミュンヘン)にて発表した。さらに当院での今までの切除検体240例を用いて新たにPD-L1追加染色を行って検討中である。
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The Annals of Thoracic Surgery
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