研究課題/領域番号 |
16K19982
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加勢田 馨 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70624435)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 凍結融解壊死療法 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 肺癌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肺癌に対する凍結融解壊死療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法(以下、凍結免疫療法)を開発することである。凍結融解壊死療法は腫瘍局所における腫瘍抗原放出を介して腫瘍免疫を活性化することが知られている。一方、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体、PDL-1抗体、CTLA-4抗体)は腫瘍細胞の免疫回避機構を抑制することで非小細胞肺癌に対して有効性を示す。凍結融解壊死療法と免疫チェックポイント阻害薬は相乗的な抗腫瘍効果を示す可能性があり、動物モデルにてその効果と機序を検討し臨床応用を目指す。平成28年度はマウスの異所性肺癌細胞移植モデルの作成および、同モデルに対する凍結装置の確立を中心に行った。肺癌細胞株としてルイス肺癌細胞を用い、培養したルイス肺癌細胞5×106個を6週齢のBALB/cマウスの左大腿皮下に注入すると、4週間後に約1.5cm大の皮下腫瘤を形成する。これをもって異所性肺癌細胞移植モデルとした。マウスに凍結融解壊死療法を行うために簡易な凍結装置(50ccのシリンジに14Gロングサーフロー針の内針を装着し、屈曲させたもの)を考案した。14G針をマウスの皮下腫瘤に貫通させ、シリンジ内に液体窒素を50cc流し込むと、2分間かけて腫瘍が凍結される。続いて、シリンジ内に40度の温水50ccを注入すると腫瘍が融解される。この凍結・融解を実臨床と同様に3回繰り返し、1セットの凍結融解壊死療法とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養したルイス肺癌細胞をBALB/cマウスの左大腿皮下に注入することで、皮下腫瘤を形成することが確認出来た。また、作成した凍結装置を用いた凍結融解壊死療法も再現性を伴い施行可能であることが確認出来た。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の投与による凍結免疫療法に関する検討はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はマウスモデルに対する凍結免疫療法および、凍結腫瘍および遠隔病変の病理組織学的検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
凍結免疫療法についての検討が当初の計画よりやや遅れており、物品費の支出が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
凍結免疫療法についての検討を早め、必要な物品を今年度中早めに購入する。
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