本研究の目的は、肺癌に対する凍結融解壊死療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法(以下、凍結免疫療法)を開発することである。凍結融解壊死療法は腫瘍局所における腫瘍抗原放出を介して腫瘍免疫を活性化することが知られている。一方、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体、PDL-1抗体、CTLA-4抗体)は腫瘍細胞の免疫回避機構を抑制することで非小細胞肺癌に対して有効性を示す。凍結融解壊死療法と免疫チェックポイント阻害薬は相乗的な抗腫瘍効果を示す可能性があり、動物モデルにてその効果と機序を検討し臨床応用を目指す。平成30年度は、公益財団法人 実験動物中央研究所へ、ルイス肺癌細胞を用いた異所性肺癌細胞移植モデルを発注し、凍結免疫療法および、凍結腫瘍および遠隔病変の病理組織学的検討を行った。免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体、PDL-1抗体、CTLA-4抗体)についてはBioXcell社の製品を購入した。ルイス肺癌細胞を大腿皮下に注入したマウスモデルを用いた。約1.5cm大に成長した腫瘍に対して凍結融解壊死療法あるいは凍結免疫療法を施行し、Day60にマウスを犠牲死させた後、凍結腫瘍の病理組織学的評価を施行した。結果として、凍結免疫療法は凍結融解壊死療法に比較し、より高い局所制御能を有することが示唆された。また、免疫チェックポイント阻害薬の投与経路としては、腫瘍局所投与の方がより局所制御能を高める結果であった。一方、投与する免疫チェックポイント阻害薬ごとの抗腫瘍効果に差異は認めなかった。
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