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2016 年度 実施状況報告書

肺切除術後の残存肺に生じる潜在的肺損傷が間質性肺炎を悪化させる

研究課題

研究課題/領域番号 16K19983
研究機関東海大学

研究代表者

大岩 加奈  東海大学, 医学部, 助教 (30548045)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード肺損傷 / 肺癌 / サイトカイン
研究実績の概要

研究代表者は肺癌を中心とする悪性肺腫瘍の外科的治療に従事しているが、術後の感染性肺炎や間質性肺炎の急性増悪で患者を失うことを経験した。肺切除術後の残存肺には好中球などの炎症細胞が集積し、IFN-γやIL-12、HMGB1などの種々のサイカインが産生され、それらによる肺血管透過性の亢進と肺浮腫が生じる潜在的肺損傷Occult lung injuryの状態にあることを、マウスモデルで確かめてきた。肺切除術後の残存肺に生じる潜在性肺損傷Occult lung injuryは、頻度の高い感染性肺炎などの重篤化と、致死率が最も高いにもかかわらず病態解明の糸口さえつかめていない肺癌術後の間質性肺炎急性増悪の発症機序に関与している可能性がある。これまでのマウスモデルから発展させ、より臨床に即した中型動物で実験を行い、occult lung injuryの検証と病態解明を行うことが本研究課題である。ビーグル犬に対して全身麻酔下に左肺全摘術を施行し、マイクロサンプリング法を用いて残存右肺の末梢気管支から気道上皮被覆液(Epitherial lining fluid; ELF)を採取した。肺切除後5時間まで経時的に採取し、種々の炎症性サイトカイン濃度を測定した。ELF中のTNF-alpha濃度はbaselineでは検出限界以下であったが、切除後5時間までに残存対側肺で214±11 (mean±SD) pg/mlの濃度上昇を認めた。IL-1betaはbaselineでは864±142 pg/mlであったものが、 2928±1447 pg/mlまでの上昇を認めた。IFN-gammaはbaselineでは310±142 pg/mlで、689±384 pg/mlまでの上昇を認めた。一方、 IL-6はbaselineも切除後も検出限界以下であった。イヌ肺切除モデルでは、肺切除後の残存肺にTNF-alpha、IL-1 beta、IFN-gammaが産生され、occult lung injuryの存在が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動物実験、試料測定はともに滞りなく、実施できている。

今後の研究の推進方策

実験回数を増やし、詳細な検討を進めていく。海外での学会参加、情報収集を予定しており、論文を作成する。

次年度使用額が生じた理由

動物実験と試料測定において、共同実験施設の物品が使用できたため。

次年度使用額の使用計画

論文の作成(英文校正など)、国際学会発表、情報収集などに使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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