研究課題/領域番号 |
16K19988
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
前田 亮 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究員 (00648769)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺がん / 間質性肺炎 / 線維芽細胞 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
間質性肺炎合併肺がんの生物学的特性を把握するために、病理病期I期の間質性肺炎合併肺がん切除症例を検討したところ、非合併肺がんと比較して、リンパ管侵襲が有意に多く認められた。肺がんにおいて、脈管侵襲は強力な術後再発予測因子であり、これは間質性肺炎合併肺がんの病理学的悪性度が高いことを示唆している。そこで間質性肺炎の肺の微小環境が既存の肺がんの悪性度を高める因子として働いているのではないかという、独自の新しい仮説を立てて研究を開始した。本研究期間内において、間質性肺炎における肺の微小環境が肺がんの悪性度を高める因子として働いているという、臨床研究の成果に基づいた洞察より導いた作業仮説を、マウスモデルを用いて検証し、間質性肺炎における肺微小環境は、肺がんのリンパ節転移、対側肺転移を促進させることを示した。さらに、抗線維化薬投与により間質性肺炎を制御することで、間質性肺炎合併肺がんにおけるがんの進行を抑制することができるのかを検証し、既に臨床応用されている抗線維化薬ピルフェニドンが効果を示すことが非臨床モデルで立証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進捗しているため、予定通り平成29年度課題の進捗を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は計画通りに研究を推進する。間質性肺炎関連α-SMA陽性筋線維芽細胞の病態形成機序の解明及び間質性肺炎の病態形成に関わるα-SMA陽性筋線維芽細胞が、肺がんのリンパ節転移を促進させるメカニズムの解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、 実験用動物購入が予定より大幅に少なかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
新たな肺がん発症マウスモデルを導入するために、K-rasLSL-G12D/+; p53fl/fl(KP)マウスを購入し、Cre発現アデノウイルスベクターを経気道的に投与することで肺がんが発症するマウスモデルを確立させる。
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