ブレオマイシン誘導性間質性肺炎マウスモデル(ブレオマイシン投与後14日目)にマウス肺がん細胞株LLCを左肺に同所性肺移植し、同所性移植後14日目に形成された腫瘍を評価した。ブレオマイシン誘導性間質性肺炎マウスモデルに形成された腫瘍と、コントロールとしてPBSを経気道的に投与したマウスに形成された腫瘍を比較したところ、腫瘍の大きさに有意差は認められなかったものの、ブレオマイシン誘導性間質性肺炎マウスモデルで形成された腫瘍では縦隔リンパ節転移量が有意に増加し、コントロールマウスでは全く認められなかった対側肺転移が認められるようになった。 抗線維化薬投与により間質性肺炎を制御することで、間質性肺炎合併肺がんにおけるがんの進行を抑制することができるのかを検証した。ピルフェニドンは、2008年10月に特発性肺線維症の治療薬として初めて認可された抗線維化剤で、間質性肺炎の病態に関わる各種サイトカインおよび増殖因子に対する産生調節作用や,線維芽細胞増殖抑制作用を有することが知られている。肺がんの同所性肺移植モデルにブレオマイシンで間質性肺炎惹起させ、間質性肺炎に対する治療薬であるピルフェニドンを投与し、間質性肺炎を制御したところ、肺がんの縦隔リンパ節転移、対側肺転移が有意に抑制された。
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