研究課題/領域番号 |
16K19993
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
奈良岡 征都 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (10455751)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 早期脳損傷 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
ラット内頚動脈穿通によるくも膜下出血モデル作成を行った。SD雄ラット(400-450g)を用いた。当初は300-350g ラットにて作成していたが、くも膜下出血作成後の生存率の向上のため、400-450gラットへと変更した。全身麻酔後に経口挿管し、外頚動脈stumpから3-0ナイロン糸相当のタングステンワイヤーをシースとともに内頚動脈へ挿入、ワイヤーによる内頚動脈分岐部穿通にてくも膜下出血を作成した。当初は4-0ナイロン糸を、先端を斜めにカットして使用し穿通する予定であったが、穿通によるくも膜下出血作成が不良であったためタングステンワイヤーへ変更した。タングステンワイヤーにて良好な穿通およびくも膜下出血の作成が可能となった。この手技に先立って左頭部穿頭を行い、左前頭葉へ脳圧センサー先端を挿入、留置してくも膜下出血作成前から持続的に脳圧をモニタリングしている。本年度はN=60のラットに対して手技を施行、くも膜下出血作成直後の死亡率は約20-30%であった。くも膜下出血作成後の脳圧更新は40-200mmHgであったが、脳圧が120mmHgを超えたラットは高率に死亡した(人工呼吸器へ接続のうえ、全例蘇生処置施行)。Sham群にて穿通後に開頭術を施行、くも膜下出血が良好に作成されていることを確認した。くも膜下出血作成時、特に脳圧亢進が著しいラットにおける死亡率は低減の工夫が今後の課題である。治療介入として本年度はシロスタゾール、オザグレルナトリウム、ベラプロストナトリウムそれぞれを単独投与予定であったが、シロスタゾール投与群作成のみにとどまっている。解析はオザグレルナトリウム、ベラプロストナトリウム投与群作成後に検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット穿通SAHモデル作成においてタングステンワイヤーにてくも膜下出血は作成できているものの頭蓋内圧ICPモニタリングでばらつきが大きく、一定条件のくも膜下出血が得られているとはいい難い。また、頭蓋内血流CBFや還流圧CPPを測定するため、当初は予定されいてなかった体血圧MABP測定も現在検討中であり、治療介入の前提となるくも膜下出血モデルの条件設定が変更される可能性があるため、治療群作成が遅延している状況である。くも膜下出血モデルの条件変更のため、治療介入前に予備実験を要することとなり、本年度前半にモデルやモニタリング条件を再設定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
くも膜下出血モデルの作成方法やモニタリング方法の変更が確定された後、速やかに治療群作成を行う。既に作成したシロスタゾール群も、くも膜下出血モデルの変更内容次第では再度作成を要する可能性がある。シロスタゾール、オザグレルナトリウム、ベラプロストナトリウム単独群を速やかに作成、一旦結果の解析を行ったのち、重複投与群は結果検討後に、すべての組み合わせではなく、治療効果が認められた群の相加相乗効果の検討として行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた治療群作成(シロスタゾール、オザグレルナトリウム、ベラプロストナトリウムそれぞれの単独治療群)が、実験モデル作成の変更に伴い遅延したため。なお、くも膜下出血モデルの変更としては、くも膜下出血作成は予定どおりに血管穿通モデルを施行したが、実験中のモニタリング項目が追加となることが予定されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度に予定していた治療群作成(シロスタゾール、オザグレルナトリウム、ベラプロストナトリウムそれぞれの単独治療群)を、くも膜下出血モデル作成、モニタリング変更点が確定次第、作成する予定である。
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