研究課題/領域番号 |
16K20001
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
辻本 真範 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (70509554)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビタミンK非依存性抗凝固薬(NOACs) / 活性型血液凝固第X因子(FXa)阻害薬 / リバーロキサバン / 抗血小板療法 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
健常者の多血小板血漿(PRP)に対しFXa阻害薬(rivaroxabanおよびedoxaban)にて前処置をした後にコラーゲンで刺激し,光透過法およびレーザー光散乱システムを用いて血小板凝集能を測定した。コラーゲン刺激後の血小板を可溶化し,ウェスタンブロット法にてp44/p42 MAP kinaseおよびHSP27のリン酸化レベルを解析した。また,コラーゲン刺激による血小板からのPDGF-ABの分泌,リン酸化HSP27の遊離をELISA法にて測定した。 健常者血小板において,rivaroxabanは光透過法,レーザー光散乱法いずれにおいても血小板凝集能には何ら影響しなかった。rivaroxabanおよびedoxabanは用量依存性(0,500,1000 ng/ml)にコラーゲン刺激によるp44/p42 MAP kinaseのリン酸化およびHSP27のリン酸化を有意に抑制した。rivaroxabanおよびedoxabanはコラーゲン刺激によるp38 MAP kinaseのリン酸化に何ら影響しなかった。rivaroxabanはコラーゲン刺激によるPDGF-ABの分泌には何ら影響しなかった。rivaroxabanはコラーゲン刺激によるリン酸化HSP27の遊離を有意に抑制した。 さらに,心房細動もしくは深部静脈血栓症患者5名を対象にrivaroxaban投与前後においてコラーゲン刺激による血小板凝集能を測定し,加えて血小板を可溶化後,ウェスタンブロット法にてHSP27のリン酸化レベルを解析した。 患者血小板において,rivaroxaban投与後のコラーゲン刺激による血小板凝集能は投与前と比し何ら変化がなかったが,HSP27のリン酸化は抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コラーゲン刺激による血小板の活性化に対するFXa阻害薬の効果についてはこれまでの研究結果をまとめ論文投稿を行った。現在ほかの薬剤についての検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
FXa 阻害薬の血小板に対する効果についてさらに研究を進めるために、これまで刺激薬としてコラーゲンを用いてきたがほかの薬剤についても検討を行う。P2Y1/P2Y12受容体刺激薬であるADP、TXA2 受容体刺激薬であるU46619、GPIb/IX/V刺激薬であるリストセチン、PAR 受容体刺激であるTRAPを用いて実験を行う。 細胞内情報伝達については、MAP キナーゼおよびその下流因子であるHSP(Heat Shock protein)の血小板凝集への関与をWestern blotにて解析する。次に、血小板から放出される生理活性化物質(可溶性 CD40 ligand、 PDGF(Platelet Derived Growth Factor)、S1P(sphingosine1 phosphate))をELISA 法にて測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているが、少額であり、ほぼ予定通りであったと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も予定通りに刺激薬、抗体などの試薬、血小板凝集能検査に要する消耗品に使用する。
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