研究課題/領域番号 |
16K20003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大岡 史治 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (10725724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 / エピゲノム治療 |
研究実績の概要 |
脳腫瘍を自然発生するMADMマウスモデルを用いて、平成28年度は阻害剤による細胞増殖抑制効果を確認した。動物実験ではこれまでに樹立しているMADMマウスに対してEZH2の阻害剤投与を開始した。これらの結果を受けて、平成29年度は阻害剤投与実験を複数個体に行うことで再現性を確認する実験を続けている。また、阻害剤投与後のMADMマウスの腫瘍細胞から回収したRNAを用いたマイクロアレイ法にて遺伝子発現変化の解析を進めた。また動物実験の裏付け実験としてMADM細胞株のEZH2をノックダウンした細胞株を用いた実験を進めた。 (1)阻害剤投与後の脳腫瘍のRNAを用いたマイクロアレイによる遺伝子発現解析 これまでに申請者は脳組織の凍結切片を作成し、腫瘍部位からDNA, RNAを回収し解析する方法を確立している。本研究では治療後のMRIを施行したマウスをサクリファイスし、凍結切片からRNAを回収した。現在複数個体から解析に用いることができるクオリティーを有したRNAを回収しており、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を準備中である。また投薬実験も繰り返しており、解析に用いる個体数も増やしているところである。 (2)MADM腫瘍細胞株のEZH2ノックダウンによる細胞増殖抑制効果と遺伝子発現の解析 ノックダウンに用いるshRNAのトランスフェクションを複数の細胞株に対して行い、ノックダウン効果、細胞増殖抑制効果を確認した。現在はそのshRNAの安定発現細胞株の樹立を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で用いるMADMマウスモデルは脳腫瘍を自然発生するモデルであり、腫瘍を形成するまでの期間が長いこと(生後約100日で腫瘍形成)、腫瘍細胞株を樹立できる可能性は高いものではなく、複数の細胞株を樹立するためには多くの個体数を要することから遅れが出ているものと考えられる。また、阻害剤投与中に予期せず死亡する個体も多いため、安定した結果を得るためには多くの個体を要するため、概ね個体の準備に予想よりも多くの時間を要していると考えられる。論理に矛盾しない結果が得られているため、再現性の担保のために時間を要しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験、動物実験共に手法は確保しており、マウス個体を確保する技術も確保できているものと考える。今後はこれまでの結果について、統計的に証明することを目的として複数の実験を重ねていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実験手技、試薬を増やすことはなく、個体数を増やして安定した結果をえるための実験が主であったためと考える。次年度はデータ解析を進め、論文投稿を目標とする。
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