研究実績の概要 |
脳腫瘍を自然発生するMADMマウスモデルを用いて、平成28年度は阻害剤による細胞増殖抑制効果の確認と、動物実験にてMADMマウスに対してEZH2の阻害剤投与を開始した。平成29年度は阻害剤投与実験を複数個体に行うことで再現性を確認する実験を続けた。また、阻害剤投与後のMADMマウスの腫瘍細胞から回収したRNAを用いたマイクロアレイ法にて遺伝子発現変化の解析を進め、また動物実験の裏付け実験としてMADM細胞株のEZH2をノックダウンした細胞株を用いた実験を進めた。細胞株の樹立等に時間を要したため、平成30年度は同様に以下の実験を進めた。 (1)阻害剤投与後の脳腫瘍のRNAを用いたマイクロアレイによる遺伝子発現解析 これまでに研究代表者は脳組織の凍結切片を作成し、腫瘍部位からDNA, RNAを回収し解析する方法を確立している。本研究では治療後のMRIを施行したマウスをサクリファイスし、凍結切片からRNAを回収した。複数個体から解析に用いることができるクオリティーを有したRNAを回収して、マイクロアレイの準備中である。予備実験として、EZH2をノックアウトしたMADMマウスを樹立し、腫瘍抑制効果を確認することができ、腫瘍細胞から回収したRNAを用いたマイクロアレイ解析を行った。エピゲノム異常を同定していた遺伝子群の遺伝子発現変化を確認することができた。 (2)MADM腫瘍細胞株のEZH2ノックダウンによる細胞増殖抑制効果と遺伝子発現の解析 ノックダウンに用いるshRNAのトランスフェクションを複数の細胞株に対して行い、ノックダウン効果、細胞増殖抑制効果を確認した。shRNAの安定発現細胞株を樹立することができ、その解析準備中である。
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