臨床検体を用いたIDH2遺伝子変異、1p/19q LOHの迅速診断技術の確立を目指し、計画に沿って下記を行った。当初は計画外であったが、H3F3A遺伝子については変異細胞株をすでに入手していたこともあり、その臨床的有用性を鑑みて迅速診断プローブを追加設計、確立させた。この解析結果と並行して、従来法(サンガーシークエンス、MLPA、FISHなど)での照合をすすめた。また術中腫瘍検体のマルチサンプリングも行った。
(1)i-Densyを用いたIDH1/2などの迅速診断技術確立:Qプローブを対象DNAに水素結合させ、加熱によりdenatureされ発光。対象DNAに遺伝子変異を認める場合、1塩基の変化によりdenature 温度が変化するため、温度差から遺伝子変異が判断可能である。本研究ではまず、IDH1 R132のプローブを作成した。次いでH3F3Aに対するプローブもあわせて設計、確立した。またIDH2 R172については、標的配列についていくつかの候補部位を絞り込み、既に完成したプローブについて腫瘍検体をi-Densyで解析し実証した。これらはすべて臨床検体を用い、手術と並行して解析した。
(2)従来シークエンス法による確認:上記解析の対象となった同一腫瘍組織検体を用いて、同定された異常を再確認した。QIAGENを 使用して腫瘍DNAを採取、IDH1/2遺伝子および各染色体のhetero SNPに対して作成したNotI配列付きプライマーを用いてPCRを行い対象 領域のアンプリコンを作成。Hiseq2500を用いた解析系の条件検討を行い、適切な結果が得られることを確認した。今後、解析対象となる検体について検討が必要である。
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