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2016 年度 実施状況報告書

血管内皮増殖因子受容体の異常による先天性水頭症の発症機序

研究課題

研究課題/領域番号 16K20009
研究機関神戸大学

研究代表者

音羽 泰則  神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40647765)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードマウス / 遺伝子異常 / 先天性水頭症 / 脳脊髄液 / リンパ管
研究実績の概要

我々は、血管内皮増殖因子VEGF-Aの受容体であるFlt1と Flk1のダブルヘテロ欠損(Flt1+/-; Flk1+/-)マウスが、先天性水頭症をきたし2ヶ月齢頃までに致死となることを見出した。本研究では、Flt1+/-;Flk1+/-マウスにおける脳脊髄液の制御異常を明らかにして、水頭症発症機序を解明することを目的とする。
脳脊髄液の排出経路を調べるため、Flt1+/-マウスとFlk1+/-マウスを掛け合わせて得られた生後1か月齢のマウスのくも膜下腔にトレーサー(蛍光標識高分子デキストラン、エバンスブルー色素)を注入した。頭蓋骨を採取し、血管及びリンパ管内皮細胞のマーカー(PECAM-1,Prox1,VEGFR3)でホールマウント染色し、透明化試薬で組織を透明化した後に共焦点レーザー顕微鏡で三次元的に解析した。静脈洞周囲にリンパ管が存在し、トレーサーの一部は静脈洞を通って吸収されていた。Flk1+/-マウスでは、静脈洞周囲のリンパ管内皮細胞数の減少が認められたが、脳脊髄液の排出には異常を認められなかった。そのほかに頸部のリンパ管を通り深頸部・浅頸部リンパ節へ排出される経路も確認できたが、遺伝子型の違いによる静脈洞やリンパ管での排出経路に違いは認められなかった。
胎生13.5日目のマウスの頭頂部よりトレーサーを注入し、傍脊髄腔からの排液を調べた。傍神経部からトレーサーの吸収が確認できたが、遺伝子型の違いによる違いは認められなかった。これらのことから、Flt1+/-;Flk1+/-マウスが先天性水頭症を起こす機序として、脳脊髄液の排出は重要ではない可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた脳脊髄液の排出経路の解析については順調に進んだが、VEGF-A受容体欠損マウスにおける脳血液関門の機能解析まで到達できなかったため。

今後の研究の推進方策

研究計画に沿って脳脊髄液の産生について脈絡叢の解析を行う。また、脳脊髄液産生・排出に対するVEGF-Aの役割を解析する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品が安く購入できたこと及び少し研究が遅延しておりその分の予算を今年度に回したため。

次年度使用額の使用計画

平成29年度の予算と統合して今後の実験に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Flt1/VEGFR1 heterozygosity causes transient embryonic edema.2016

    • 著者名/発表者名
      Otowa Y, Moriwaki K, Sano K, Shirakabe M, Yonemura S, Shibuya M, Rossant J, Suda T, Kakeji Y, Hirashima M
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 6 ページ: 27186

    • DOI

      10.1038/srep27186.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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