研究課題/領域番号 |
16K20010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 宏知 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10569239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グリオーマ / メタボロ‐ム解析 / ベバシズマブ |
研究実績の概要 |
膠芽腫では、Warburg効果による代謝リモデリングが起こり、腫瘍特異的な代謝を維持している。抗癌剤、放射線治療によって腫瘍特異的代謝経路も変化すると思われるが、明らかではない。近年、膠芽腫に対し、VEGF(vascular endothelial growth factor)に対する抗体医薬ベバシズマブが導入された。ベバシズマブは腫瘍血管を正常化することで腫瘍への血流を減らし、腫瘍を兵糧攻めするのであるが、効果は限定的である。その原因として、ベバシズマブによる代謝リモデリングが生じているものと考えられる。そこで我々は、ガスクロマトグラフィー/質量分析器(GC/MS)を用いて、ベバシズマブ投与後の膠芽腫でメタボローム解析を行い、ベバシズマブによる代謝リモデリングを明らかすることを計画した。 まず、膠芽腫の培養細胞(U87, A172, T98, U251 等)にベバシズマブを投与して、細胞増殖に与える影響を解析したが、ベバシズマブ投与による増殖促進効果は認めなかった。その後、ベバシズマブ投与後の細胞より細胞抽出液を作成し、GC/MSによるメタボローム解析を行ったところ、コンロトロールに比較して有意な差は認めなかった。次にグリオーマ細胞を脳内移植したマウスモデルを作成し、ベバシズマブを投与したところ、コントロールでは2~3週で死亡するところがベバシズマブ投与群では1か月以上も生存し、ベバシズマブによる生存期間延長効果を認めた。現在、組織を採取してメタボローム解析を行い、代謝の変化を解析しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリオーマの脳内移植モデルで、ベバシズマブ投与群はコントロールに比較して統計学的有意に生存期間延長効果を示し、その腫瘍のメタボローム解析を行っているところである。また、ベバシズマブ投与に併用できるいくつかの薬剤を考案できており、現在のところおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、ベバシズマブ特異的代謝リプログラミングをマウスモデルでGC/MSを用いて詳細に解析する。また、ベバシズマブによる抗腫瘍効果をさらに促進できる代謝関連酵素の阻害剤あるいは代謝物を併用する予定である。食事療法なども考案している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は主にin vitroの解析であったことと、グリオーマ細胞の脳内移植マウスモデルの作製およびベバシズマブの投与法の試行などにより、メタボローム解析が次年度に回ったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
現在はグリオーマ脳内移植モデルに対するベバシズマブ投与のモデル構築が確立したため、今後は移植腫瘍でのメタボローム解析と他の薬剤との併用での代謝変化および抗腫瘍効果を解析する予定である。
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