研究課題/領域番号 |
16K20014
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松本 調 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (30772503)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / マイクログリア |
研究実績の概要 |
ラット中大脳動脈一過性閉塞による脳梗塞モデルを用いて、虚血再灌流3、5、7日後(days post-reperfusion; dpr)という亜急性期での、eat-me signal認識分子や、神経細胞、マイクログリアマーカーの経時的・空間的発現変動を調べた。 MAP2及びシナプス関連タンパク質の発現変化から神経細胞は、3dprで梗塞巣中心部で消失し、辺縁部でも減少がみられ、その後も変化はなかった。Eat-me signal認識分子のmRNA発現では、MFG-E8発現には経時的・空間的変化がないのに対し、MerTK、GAS6、Protein Sおよび補体のC1qは5dprより増加した。補体のC3とファゴソームマーカーCD68は、7dprになって初めて有意に増加した。 MFG-E8及びC1qのタンパク質レベルの変動は、3dprより増加していた。7dprのPeriでの免疫組織染色により、Protein S、C3がマイクログリアに貪食されようとする神経細胞表面に局在し、更にC3はNeuN及びシナプトフィジンとファゴソーム内に共局在していることが観察された。また、CD68陽性ファゴソームは7dprに比べ、3dprでは顕著に少なかった。 よって、MFG-E8、GAS6, Protein S/MerTK、補体系という3種のeat-me signal認識システムが緩徐な神経細胞死が生じる亜急性期においてマイクログリアの変性神経細胞貪食に関与することを示唆していた。一方、大部分の神経細胞死が3dprまでに完成しているのに対し、eat-me signal認識分子群の発現上昇は3または5dpr以降に観察され、特にCD68やC3の発現が7dprになって初めて有意な上昇をみせているということは、マイクログリアの貪食が神経細胞死を促進するとの最近の主張とは矛盾するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で予定していた、in vivoでの、eat me signalに関連する分子や、マイクログリア、神経細胞のマーカーのmRNA、蛋白発現、免疫組織化学的研究は終了している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞中心部や辺縁部の組織を分散し、マクロファージやマイクログリアの発現している貪食マーカーやM1 M2マーカーをFACSで解析し、その経時的変化を調べる。また、次世代シークエンサーを使用して、脳梗塞中心部や辺縁部に発現している分子を網羅的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
比較的順調に実験が計画通り進行したため、モデル動物の数や試薬の量が当初見積もりをしていたものより少なくなり、使用予定額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定している脳組織の分散に必要な試薬やFACSの抗体、次世代シークエンスのための解析などを行うため、今年度の残額を使用する予定である。
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