研究課題/領域番号 |
16K20015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
空閑 太亮 九州大学, 医学研究院, 助教 (40759932)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Glioblastom / liquid biopsy / bevacizumab |
研究実績の概要 |
Bevacizumab投与患者の血液ライブラリーを構築することを初年度の目標として研究を進めており、サンプル数は順調に伸びている。膠芽腫において抹消血液中において腫瘍由来のDNA,RNAが分泌されているかという基礎実験を繰り返し行ってきたが、実験結果の再現性に乏しく、少なくとも膠芽腫においては末梢血はバイオマーカー探索の検体対象としてはやや否定的な印象をもっている。過去の文献などでは膠芽腫患者において血液を用いたliquid biopsyの文献も散見されるが、そもそも脳腫瘍においては血液脳関門が存在しており、血液中に脳腫瘍由来物質が存在したとしても、中枢神経外の悪性腫瘍と比較して、量が少なく、liquid biopsyの対象としては適当でないとする論文も多い。 それらを踏まえて、今後の実験の進め方としては下記の2つが考えられる。1予定どおり、血液中の成長因子やサイトカインの測定を行う(IL-1,bFGF,TNF-α,PDGF-Cなど)。2測定対象を血液以外のものとする。現段階で入手可能なものとしては髄液や尿があげられる。現在は髄液ライブラリーの構築も平行して行っており、徐々にサンプル数は増えつつある状況である。プレリミナリーな結果のみであるが、髄液中の腫瘍由来物質(主に核酸)の測定実験においては、ある程度安定した結果が出つつあり、今後は髄液を使った実験を進めていく予定である。しかしながら、倫理的な観点から髄液の収集についてはやや難があることもあるのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、膠芽腫患者の血液、髄液サンプルライブラリを構築中であり、相当数の検体の貯蔵ができている状況であり、これに関しては、順調に進んでいると思われる。 膠芽腫患者において血液中に腫瘍由来の物質(腫瘍由来の核酸や成長因子、サイトカインなど)が分泌されているかどうかについての基礎実験をおこなっている。成長因子やサイトカインなどについては腫瘍由来か、もともと血中に存在しているのかを区別することは困難であるため、まずは腫瘍由来のDNAやRNAが血中に存在しているかどうかについての検討を行っている。具体的には患者血液から微量サンプル様のDNA,RNA回収キットを用いて核酸を回収し、その後通常のサンガーシークエンス、マイクロサテライトを用いたLOH解析、digital PCRなどを行っている。結果としては、再現性のある結果がでておらず、結論としては血中には腫瘍由来核酸は非常に少ないあるいはほとんど存在しない可能性が高い(すくなくとも膠芽腫においては)と考えている。
B
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今後の研究の推進方策 |
膠芽腫においては血液はLiquid biopsyの対象検体とならない可能性が高いと考えている。そこで、その他の検体について検討する必要があると思われる。具体的には脳脊髄液が有望であると考えている。理由としては、神経膠腫はしばしば脊腔内播種をきたし、腫瘍初期の段階でも髄液中内には腫瘍細胞あるいは腫瘍由来物質が存在する可能性が高いこと、頭蓋内胚細胞腫瘍などでは髄液中の腫瘍マーカーとして確率しているものがあることなどがあげられる。 現在、実際に髄液のライブラリーも構築中であり、随時髄液を使った実験も進行している状況である。具体的には血中のときと同様に髄液中の腫瘍由来核酸の同定を行っており、こちらでは血液と異なり、ある程度信頼性の高いデータが出つつある。本年度は髄液を使った実験を推進していく予定である。 同時に臨床データの活用も行っていく。髄液中バイオマーカーと臨床像、画像データなどとの相関についても検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を進めるにあたり、初年度においては、ライブラリの構築に時間が割かれたため、実験物品の消費が予想よりも下回ったことが、物品費の請求額と、実際の消費との乖離が生じた原因と思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、多数のバイオマーカー候補についての解析実験を行うことから、実験量が増大することが予想され、実験器具や試薬の購入額の増加が想定される。他施設とのコラボレーションも検討していることから、謝金などの支出も発生すると考えられる。これらに対して初年度からの繰越を有効に活用する方針である。
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