研究課題/領域番号 |
16K20023
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
竹島 靖浩 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60510203)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳静脈虚血 |
研究実績の概要 |
脳静脈虚血は、比較的軽度かつ長時間持続する虚血を特徴とする故、虚血巣や周辺組織にはその際に様々な修飾が加えられている可能性がある。本研究はこの特異な脳静脈虚血の病態解明と治療法の開発を目的とし、具体的には、動物実験モデルを利用して内因性神経幹細胞の発現動態を明らかにすることで今後の同分野の研究基盤を確立する事として研究を計画した。手技が複雑な動物モデルである静脈梗塞モデルの作成から研究を実施した。以下の手順で Wisterラット(200-250g:オス)の脳静脈虚血モデルを作成した。包水クロラール腹腔内投与麻酔のもと、静脈ラインを確保し、腹臥位としてStereotactic frameに頭部を固定する。左頭頂部をhigh speed drillにて開頭(8x16mm)することで、半透明の硬膜下に脳皮質と脳表静脈を透見する。Rose Bengal dyeを静脈内投与し、fiberoptic illuminationを用いて2本の隣接する脳表静脈を光凝固法で閉塞させる。 本年度も、継続して安定した静脈梗塞モデルの作成を実現するべく、実験を継続した。また、実験の本題である免疫染色については、抗体の賦活条件や至適条件を検討し、プロトコールを作成した。新生神経細胞の発現を確認するべく、8週齢のwisterラットを用いて脳静脈虚血ラットモデルを作成し、3日連続BrdUを腹腔内投与したのち、5週間後に脳を摘出して切片を作成した。HE染色で梗塞巣を観察するとともに新生細胞と成熟神経細胞の確認のため、免疫学的染色での検討を加えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳静脈虚血ラットモデルの作成は非常に難しく、また1日に作成できる数(3-4匹)が限られる。脳静脈の閉塞手技については安定しているが、側副血行路による虚血回避が生じ、梗塞(神経細胞の脱落)が得られない検体が含まれる。これについては、閉塞する静脈の選択や範囲を工夫したり、手技効率を上げて1日に作成できる検体の数を増やす努力をしている。 免疫染色については、抗体の賦活条件や至適条件を検討し、プロトコールを作成したが、新生細胞と成熟神経細胞の染色は得られたものの、やや発光が弱い印象のため、脳の固定方法や保存条件について再検討を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
脳静脈虚血ラットモデルは引き続き作成を継続する。免疫染色については、脳摘出時の脳を4%PFAに固定して凍結した検体と新鮮凍結した検体で比較検討し、発光がよりよい方を採用する。安定してラットモデルと免疫染色が得られた際には新生細胞および成熟神経細胞の細胞数や発生分布を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色の手技獲得が予定よりも進まなかったために、それに要する抗体や薬剤を要しなかったため。 次年度には、これらの研究を推進する計画であるため、繰り越し資金を使用する予定である。
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