研究課題/領域番号 |
16K20027
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
茂木 陽介 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30649405)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CN-AVM / RASA1遺伝子 |
研究実績の概要 |
脳動静脈奇形は破裂により重篤な脳出血を来たし、特に若年者の脳出血における主要な要因となっている。ときに遺伝性症候群における一症候として発現することもあり、いくつかの原因遺伝子も特定されている。本研究ではその中で世界的にも稀な遺伝性疾患であり、かつ今までに日本人における遺伝学的知見の報告がないCapillary-arteriovenous malformation (CM-AVM)の日本人患者における遺伝的背景を明らかにすることを目的として研究を開始した。 本研究での最初のステップとして、2つの日本人CM-AVM家系についてサンプリングを行い、すでに原因遺伝子として認識されているRASA1遺伝子の25個のエクソンおよびエクソン-イントロン間隙のダイレクトシーケンスを行う予定であったが、早期にRASA1遺伝子以外の新規疾患遺伝子の可能性を模索するため、両家系の2人の発端者に対して全エクソーム解析を行った。その結果、いずれの発端者においてもRASA1遺伝子にそれぞれ異なる機能喪失型変異が検出され、サブクローニングおよびダイレクトシーケンスにより確認を行った。これらの変異はそれぞれ2つの家系内で疾患とco-segregationしており、かつ一般人口にも存在しないことを確認した。全エクソーム解析では、他に2名の発端者で共通して機能障害性変異をきたしている遺伝子はなく、RASA1遺伝子が日本人患者でも原因遺伝子となることを初めて証明した。また、検出された変異の一方はスプライスサイト変異であり、スプライシング異常を検証するため、培養細胞にスプライス変異を組み込んだエクソントラップ・ベクターをトランスフェクションして、実際にスプライシング異常が起こることを確認した。 これらの研究成果については、平成29年度に複数の学会においてすでに報告済みであり、現在、論文掲載に向けて投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
注目した2家系のサンプリングおよび網羅的変異検索を終え、原因変異を特定した。また、網羅的解析によりRASA1遺伝子以外に2家系の病因を説明できる遺伝子変異はないことも本邦の患者で初めて示すことができた。また、検出された遺伝子変異に関して、実際に野生型とは異なる挙動を示すことを実験的に確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までに得られた研究成果を学術論文として掲載し、本邦におけるCM-AVMの遺伝学的知見について発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 論文の投稿準備がやや遅れており、そのための費用(英文校正、掲載費等)を使用せずに確保しておいたため。 (使用計画) 残りの費用は論文掲載の費用に当てるつもりである。
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